フリーターとは?メリット・デメリットや正社員に就職する方法を解説
2025/10/29 更新
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■目次
- 1.フリーターとは?
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①フリーターには定義がある
②フリーターには4つのタイプがある
- 2.フリーターと他の雇用形態はどう違う?
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①フリーターと正社員の違い
②フリーターと派遣の違い
③フリーターとアルバイト・パートの違い
④フリーターとフリーランスの違い
⑤フリーターとニートの違い
- 3.フリーターとして働くメリット
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①働き方の自由度が高い
②仕事に対する責任が重くない
- 4.フリーターとして働くデメリット
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①正社員と比べて年収が低い傾向にある
②スキルアップ・キャリア形成が難しい
③社会的な信用度が低くなる可能性も
④将来の年金受給額が低くなる
- 5.フリーターはできるだけ若いうちに就職活動を始める
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①フリーターを長く続けるほど就職が難しくなる
- 6.フリーターから正社員になる方法
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①ハローワークを利用する
②転職サイト・エージェントを利用する
③正社員登用制度を利用する
④派遣から正社員雇用を目指す方法もある
- 7.フリーターが就職を成功させるためのコツ
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①自己分析をする
②資格を取得してスキルアップする
③未経験歓迎の求人に応募する
- 8.まとめ
フリーターとは?
フリーターには定義がある
「フリーター」という言葉は「フリーアルバイター」の略称で、一般的にパートやアルバイトで生活する若者全般を指しますが、厚生労働省ではフリーターを以下のように定義づけています。
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【フリーターの定義】
15~34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうち、次のいずれかに該当する人
●雇用者のうち、勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者
●完全失業者のうち、探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
●家事も通学もしていない者のうち、 就業内定しておらず、希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
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また、内閣省の定義では、35歳以上でパートやアルバイトをしている人は「非正規労働者」「アルバイト」という呼称になり、フリーターとは区別して扱われています。ただ、一般的には35歳以上の人にもフリーターという呼称は使われており、その区別は便宜上のものとなっているようです。
フリーターには4つのタイプがある
一口にフリーターといっても、個々のフリーターを取り巻く事情や背景は多種多様です。独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「大都市の若者の就業行動と意識の変容」によると、フリーターは「夢追求型」「モラトリアム型」「やむを得ず型」「ステップアップ型」の4タイプに分類されています。
すべてのフリーターが必ずこれらのタイプに分類できるわけではありませんが、多くの人はいずれかのタイプに該当するのではないでしょうか。
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【フリーターのタイプ】
●夢追求型……仕事以外にやりたいことや目指していることがあり、当面の生活の糧を得るためにフリーターになったタイプ
●モラトリアム型……やりたい仕事を探したい、自由な働き方がしたいなどの理由からフリーターになったタイプ。または、将来に対する展望がないまま、なんとなくフリーターを続けているタイプ
●やむを得ずタイプ……就職活動に失敗した、または勤務先の倒産や家庭の事情、病気などで、やむなくフリーターになったタイプ。
●ステップアップ型……就きたい仕事のための勉強や準備、修業期間としてフリーターになったタイプ
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フリーターと他の雇用形態はどう違う?
フリーターと正社員や派遣社員などの雇用形態の違いについて、以下で解説していきます。
フリーターと正社員の違い
働き方の自由度が高いフリーターに対して、正社員はフルタイムで働くのが一般的です。正社員は月給制が一般的で、月の休日数に関わらず、一定の給与が支払われます。アルバイトやパートで生計を立てるフリーターは一般的に時給制となり、勤務日数によって収入が変動します。
また、正社員はフリーターよりも社会的信用度が高いため、住宅ローンなどの審査が通りやすいといったメリットもあります。
フリーターと派遣の違い
派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で業務指示を受けて働く雇用形態です。給与は雇用主である派遣会社から支払われます。フリーターは、基本的には特別なスキルを必要としない業務を担当するのに対し、派遣社員は正社員に準じた業務を担当することが多いため、より大きな責任や結果を求められる機会が多い傾向があります。
フリーターとアルバイト・パートの違い
フリーターとアルバイト・パートは、どちらも法律上はパートタイム労働者であるため、明確な区別はありません。一般的に、15~34歳の若年層でアルバイト・パートで生計を立てている人をフリーターと呼びます。 一方で、アルバイトは学生が中心となり短期間で働くイメージ、パートは主婦(夫)層が中心で継続的に働くイメージなど、世間では対象者によって使い分けられています。
フリーターとフリーランスの違い
フリーターは、特定の勤務先と直接的に雇用契約を結ぶのに対し、フリーランスは特定の企業や団体と雇用契約は結ばず個人で仕事を請け負います。
フリーターは時給や勤務日数によって収入が決まりますが、フリーランスは案件ごとの単価など仕事ごとに報酬が定められるため、固定給ではありません。収入は変動しますが、専門性の高い案件では大きく稼ぐことが可能です。フリーランスは特定の企業に属さず、自由度の高い働き方を実現できます。
フリーターとニートの違い
フリーターとニートの大きな違いは、労働しているかどうかです。フリーターは働く意思があり、アルバイトやパートで働いている人を指します。ニートは働く意思がなく、経済的に自立していない15〜34歳の人を定義しています。ニートはフリーターに比べて社会的信用度も低く、将来に対するさまざまなリスクや、就職の難易度が高いなどのデメリットがあります。
フリーターとして働くメリット
フリーターになった理由や目的は人それぞれにあると思いますが、まずはフリーターとして働くメリットを見ていきましょう。
働き方の自由度が高い
フリーターとして働く大きなメリットは、ワークライフバランスをとった柔軟な働き方ができることです。正社員の場合は、1日8時間・週40時間というフルタイム勤務が基本となりますが、アルバイトやパートはシフト制の職場が多く、勤務日数や時間、休日などもある程度自分で調整することができます。また、副業の制限もないため、空いている時間を有効活用して、複数のアルバイトを掛け持ちして収入を増やすことも可能です。
仕事に対する責任が重くない
職種にもよりますが、フリーターはスキルや経験がなくてもできる仕事が多く、任される業務も限られています。そのため、仕事に対するプレッシャーや負担感が少なく、正社員のように責任の重い仕事に就くことが少ない点もメリットといえるでしょう。
とはいえ、企業経営に関わるような重大なミスや規定違反、自分勝手な振る舞いや無責任な行動をすれば解雇される可能性もありますので、勤務形態に関わらず誠意を持って仕事に取り組むことが大切です。
フリーターとして働くデメリット
次に、フリーターとして働くデメリットについて、正社員と比較しながら見ていきましょう。フリーターを続けるのであれば、そのデメリットもしっかり認識しておくことが肝要です。
正社員と比べて年収が低い傾向にある
厚生労働省の雇用形態別の賃金調査(2022年)によると、正社員の平均賃金が32万8000円であるのに対し、フリーターを含む正社員以外の平均賃金は22万1300円と10万円以上の差があることがわかります。
また、毎月の賃金以外にも、正社員はボーナスや各種手当などが支給され、定期的な昇給もあります。一方で、フリーターは基本的に「働いた時間分の給料のみ」が収入となります。また、同じ仕事を続けていても給料(時給)が上がりにくく、年齢とともに正社員との年収差が開いていくのもデメリットといえるでしょう。
スキルアップ・キャリア形成が難しい
アルバイトやパートで働く場合、正社員と比べると任される業務が限られており、比較的難易度の低いルーティンワークやマニュアル業務を担当するケースが多くなります。そのため、自身の成長につながる業務経験や専門的なスキルを蓄積するのが難しく、将来的なキャリアの選択肢も限定されてしまう可能性があります。
社会的な信用度が低くなる可能性も
非正規雇用であるフリーターは、正規雇用の正社員に比べると解雇されやすいのが現実です。そのため、フリーターは雇用(収入)が不安定と捉えられ、社会的信用が低くなる傾向にあります。場合によっては、賃貸住宅の入居審査に通りにくかったり、各種ローンやクレジットカードの利用が制限されるなど、信用調査に影響が出る可能性もあります。
将来の年金受給額が低くなる
日本の年金制度は「国民年金」+「厚生年金」の2階建て構造です。国民年金は国民全員に加入が義務づけられていますが、厚生年金は会社員が加入するシステムとなっています。そのため、国民年金と厚生年金の双方から年金を受け取る正社員に対して、国民年金のみに加入するフリーターは、将来の年金受給額が低くなってしまうのです。
厚生労働省が発表した「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金を受給している人の平均年金月額は約5万6000円、厚生年金を受給している人の平均年金月額は約14万5000円となっています。保険料の納付状況や収入によって年金の受給額は異なりますが、国民年金・厚生年金の平均額には8万円以上の差が生じていることがわかります。
フリーターはできるだけ若いうちに就職活動を始める
就職サイトの求人には、雇用対策法により年齢制限の記載がありません。しかし、多くの企業には採用したい人材の年齢層があり、若手が優先される傾向にあるのが現実です。
厚生労働省の「平成30年若年者雇用実態調査」によると、過去3年間に「(フリーターを含めて)正社員を採用する予定があった」と回答した事業所は全体の49.9%で、実際にフリーターを採用した事業所は18.5%。そのうち、15~34歳のみを採用した事業所は10.0%で、35歳以上の採用になると2.1%と大きく減少しています。
近年、企業の人手不足が顕著となり、正社員就職のハードルは下がりつつあります。しかし、フリーターから正社員を目指すのであれば、できるだけ若いうちに就職活動を始めることが、採用の可能性を上げるポイントとなるでしょう。
フリーターを長く続けるほど就職が難しくなる
フリーターの期間が長くなると、正社員として就職するのが難しくなります。厚生労働省の広報資料によると、フリーター期間別の正社員就職率は以下の通りです。
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【フリーターの期間別・正社員就職できた人の割合】
●フリーター期間6ヵ月以内……64.0%
●フリーター期間6ヵ月~1年以内……58.3%
●フリーター期間1年~2年以内……52.2%
●フリーター期間2年~3年以内……58.9%
●フリーター期間3年以上……48.9%
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このように、フリーター期間が6ヵ月以内であれば6割以上の人が正社員として就職できたのに対し、期間が3年以上になるとその割合が半数以下になることがわかります。したがって、将来目標や明確な理由もなくフリーターを続けている人は、早急に正社員を目指して就職活動に取り組むことが重要です。
特に中途採用市場では、年齢が上がるほど経験値の高い即戦力を求める傾向が強まります。同じ年齢の正社員と比べて、経験できる業務内容が限られているフリーターにとって、年齢とともにその期間が長くなれば、採用で不利になる可能性がが高まることを理解しておきましょう。
フリーターから正社員になる方法
ここからは、フリーターから正社員になる方法をご紹介します。正社員を目指すことに不安や悩みを感じている方は、ぜひ参考にしてください。
ハローワークを利用する
ハローワークは厚生労働省が運営する機関で、幅広いエリアの豊富な求人情報を確認できます。誰でも無料で利用でき、面接の段取りのサポートなど、充実した就職支援サービスを受けられます。フリーターから正社員を目指す方は、ぜひ検討してみてください。多くの求人があるため、ミスマッチを防ぐためにも、自分の希望条件と合っているかを確認しましょう。
転職サイト・エージェントを利用する
転職サイトやエージェントでは、空いた時間にいつでも豊富な求人をチェックでき、自分の希望に合った求人を効率よく見つけることができます。求人探しだけでなく、キャリアアドバイザーに相談したり、面接対策や書類作成のサポートを受けたりできるメリットもあります。初めて就職活動をする方にもおすすめです。
フリーターから正社員を目指す場合は、「未経験歓迎」「就業経験なし」といった条件で応募できるフリーター向けの転職サイトに登録してみると良いでしょう。
正社員登用制度を利用する
今働いているアルバイト先の正社員登用制度を利用して、正社員になる方法もあります。職場環境や仕事内容、雰囲気をすでに把握している状態で正社員になれるため、入社してからのミスマッチを防げるのが大きなメリットです。正社員登用制度は企業が独自に設けているもので、登用の条件は企業によって異なります。現在のアルバイト先でゆくゆくは正社員になりたいと考えている方は、こちらの方法もおすすめです。
派遣から正社員雇用を目指す方法もある
派遣社員として働き、派遣先企業に正社員登用制度がある場合、スキルや勤務態度が評価されれば、正社員登用の機会を得られます。また、正社員としての直接雇用を前提とする紹介予定派遣という働き方もあります。将来的に正社員として働きたいと考えている方は、求人に応募する際に、正社員登用制度の有無や基準をチェックしておくことが大切です。
フリーターが就職を成功させるためのコツ
「フリーターだから就職するのは無理…」と諦めず、正社員を目指して一歩踏み出してみることが大切です。ここからは、現在フリーターから就職を成功させるための対策やコツをご紹介します。
自己分析をする
自己分析を行うことで、自分に向いている仕事や業種の傾向がわかり、面接で自分の強みや価値観をアピールできます。具体的な方法として、好きなこと、嫌いなこと、これまでの人生経験、自分の強みや弱みなどを全て紙に書き出してみましょう。自己理解が深まり、効率的に就職活動を進めることができます。
資格を取得してスキルアップする
フリーターから正社員を目指す場合、就職活動に有利に働く資格を取得するのもおすすめです。ただし、応募した企業の仕事内容と関係のない資格を取得しても採用される確率はあまり上がらないため、関連性の高い資格を取得しましょう。資格を取得した際は、履歴書の資格欄に名前を書くだけでなく、「なぜこの資格を取得しようと思ったのか」「資格取得のためにどんな努力をしたのか」といった背景も伝えましょう。そうすることで、仕事への熱意が採用担当者に伝わります。
未経験歓迎の求人に応募する
フリーターから正社員を目指すには、未経験歓迎の求人に応募することも有効です。フリーター向けの求人が豊富な就職支援サービスを活用することで、正社員就職を目指せます。
特に人手不足が深刻な介護・福祉業界や運輸・物流業界、IT業界などは、未経験からでも挑戦しやすい環境が整っており、受け入れ態勢が整った職場が増えています。未経験から正社員になることに不安を感じる方は、研修制度やOJT、資格取得支援制度が充実している企業を選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は、フリーターの定義や概要とともに、正社員と比較したフリーターのメリット・デメリットについて、さまざまな調査データをもとに詳しく解説しました。
仕事に対する価値観や働き方が多様化する中、フリーターとして働くことも、自身の生き方を模索する上での選択肢のひとつになるでしょう。一方で、長期間フリーターを続けて年齢を重ねると、正社員を目指して就職活動する際のハンデとなる可能性もあります。
ここ近年の国内労働市場は、少子化の影響で若手の人手不足が深刻化しており、正社員を目指すフリーターにとっては有利な状況です。もし、フリーターから正社員を目指すのであれば、ぜひ早めにアクションを起こして、自身の次なるキャリアステージに向けてチャレンジしてください!
