溶接資格の種類と難易度を解説!取り方や費用についてもまとめて紹介
2023/12/15 更新
溶接の資格には様々な種類があり、未経験者からでも取得できる資格やある程度の経験が必要な資格など幅広く存在しています。また、取得する際の費用や年齢の制限なども資格によって異なります。
この記事を読めば、溶接資格の種類や難易度をすぐに理解することができます! ぜひ最後まで読んでみてください。
そもそも溶接って何?
溶接作業とは、金属を電流や光、熱を使って溶かし、再度固めることで金属同士を接合する加工方法のことです。
ネジやボルト等での接合は外すことができますが、溶接は溶かして固めることにより、完全につなぎ合わせることできます。
一言で溶接と言っても、その溶接方法やつなぎ合わせる材料も様々であり、資格や使用する機器の種類が多いのが特徴となります。この記事ではその概要を紹介していきます。
溶接工とは?必要な資格や収入面、未経験から目指す方法を紹介!
溶接の仕事は未資格でもできる?
自宅でおこなう簡単なDIYなどであれば資格は必要ありませんが、工場などで業務の一環として溶接をおこなう場合は、有資格者でなければ溶接作業はできません。その技能を証明するために国家資格と民間資格があり、労働安全衛生法などにもその旨が記載されていますので、しっかりと確認しましょう。
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- この見出しのポイント!
- 業務で溶接作業が必要な場合は、工場経営者は溶接作業者の資格を従業員に取得させるよう、法律で義務付けられています。
溶接資格の種類一覧
下記に溶接資格の種類一覧表を記載していきますので、参考にしてください。
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1.アーク溶接作業者
難易度
★☆☆☆☆(簡単)
年齢制限満18歳以上
溶接経験有無初心者向け
取り方講習/学科2日間(11h)と講習/実技1日間(10h)
費用11,600~15,240円(教材費込/実施先による)
・インターネット申し込みで割引あり適用規格JISZ3801・WES8201
協会公式サイト -
2.ガス溶接技能者
難易度
★☆☆☆☆(簡単)
年齢制限満18歳以上
溶接経験有無初心者向け
取り方講習2日間(14時間)の学科と実技(最後の1時間は終了試験)
費用13,000~18,000円程度と教材費1,650円程度(実施先で異なる)
適用規格JISZ3801・WES8201
協会公式サイト -
3.アルミニウム溶接技能者・基本級
難易度
★★☆☆☆(やや簡単)
年齢制限満15歳以上
溶接経験有無実務経験1か月以上
取り方学科試験・実技試験を受験
費用学科試験費用1,210円、実技試験8,580~53,240円、合格後の認定料4,510円、更新あり
適用規格JISZ3811
協会公式サイト -
4.アルミニウム溶接技能者・専門級
難易度
★★★☆☆(普通)
年齢制限満15歳以上
溶接経験有無実務経験3か月以上で基本級取得者
取り方学科試験・実技試験を受験
費用学科試験費用1,210円、実技試験8,580~53,240円、合格後の認定料4,510円、更新あり
適用規格JISZ3811
協会公式サイト -
5.溶接管理技術者
難易度
★★★☆☆(普通)
年齢制限理大卒業及び要実務経験
溶接経験有無実務経験3年以上(目安)
取り方筆記試験Ⅰ/Ⅱ・口述試験
費用筆記試験Ⅰ/Ⅱ26,400円、口述試験22,000~27,500円、合格後の登録料19,800円、更新あり
適用規格JISZ3410
協会公式サイト -
6.ガス溶接作業主任者
難易度
★★★★☆(やや難しい)
年齢制限無
溶接経験有無3年以上(目安)
取り方3時間で20問の筆記試験(経験・卒業学科により科目免除などもあり)
費用受験料6,800円、合格後の免許申請には実務経験の証明書が必要
協会公式サイト -
7.普通ボイラー溶接士
難易度
★★★★☆(やや難しい)
年齢制限無
溶接経験有無溶接実務1年以上
取り方学科試験(40問 2.5h)・実技試験(下向き・縦向き・突合わせ溶接)
費用学科試験6,800円、実技試験18,900円、有効期間2年、更新あり、学科免除制度あり
協会公式サイト -
8.特別ボイラー溶接士
難易度
★★★★★(難しい)
年齢制限無
溶接経験有無普通ボイラー取得後、実務経験1年以上
取り方学科試験(40問2.5h)・実技試験(下向き・縦向き・突合わせ溶接)
費用学科試験6,800円、実技試験21,800円、有効期間2年、更新あり、学科免除制度あり
協会公式サイト -
9.溶接作業指導者
難易度
★★★★★(難しい)
年齢制限満25歳以上
溶接経験有無3年以上(目安)技量資格保有
取り方3日間の講習と学科試験
費用受講料54,050円、溶接監理技術者は23,600円、再受講者は12,600円
協会公式サイト
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- この見出しのポイント!
- 溶接は労働安全法で定められた国家資格の取得が必須です。自分のやりたい仕事に合わせた溶接資格を選んでください。
アーク溶接作業者の資格について解説!
溶接工として働くために、最初に取得をおすすめする、他の溶接の資格と比べると難易度が低い資格が「アーク溶接作業者」です。アーク溶接は多くの金属の溶接に用いられ、現在では主流となる溶接方法となります。同資格を持っていれば、自動車工場や自動車修理工場、鉄工所や造船所で溶接作業などに従事できるため、幅広い職種にも対応可能な資格とも言えます。また、アーク溶接ができれば、各種プラントの補修作業などにも携わることも可能です。
アーク溶接は、電気の放電により4,000度の炎を発生させた溶接方法になります。
アーク溶接作業者の資格の取得方法
アーク溶接作業者の試験は簡単で、難易度は高くありません。技能講習(アーク溶接特別教育)試験で早退や遅刻などがなければ、ほとんどの方が合格できます。その為には3日間の講習(学科2日・実技1日)を受講する必要があり、金額は会場により異なりますが、11,600〜15,240円の受講料が掛かります。
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- この見出しのポイント!
- アーク溶接作業者の資格は溶接資格の中でも特に汎用性が高いです。「どの資格から取っていいのかわからない…」という人にオススメです!
ガス溶接技能者の資格について解説!
ガス溶接も、溶接作業の入門的な国家資格です。労働安全衛生規則では、ガス溶接技能者の資格があれば、可燃性ガスと酸素を用いて金属の溶断や溶接、加熱作業などに従事できます。ガス溶接も建設現場や造船所など、幅広い現場で使用されています。
ガス溶接は、ガスバーナーを使用して3,000度の炎を発生させた溶接方法になります。
ガス溶接技能者の資格の取得方法
ガス溶接技能講習を受講して、修了試験に合格出来ればガス溶接作業者資格を取得できます。18歳以上であれば誰でも受講することができ、学科8時間・実技5時間の合計13時間の講習を受講し、修了試験を受験します。問題全体の6割以上の正答で合格となります。問題は比較的簡単であり、講習の内容を理解していれば難易度は高くありません。費用は実施機関で異なりますが、13,000円〜22,000円程度で受講できます。
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- この見出しのポイント!
- ガス溶接技能者も持っていて損のない優秀な国家資格です。アーク溶接技能者と併せて取得してもいいかもしれません。
ボイラー溶接士の資格について解説!
ボイラーの溶接に必要な資格は、「普通ボイラー溶接士」と「特別ボイラー溶接士」の免許です。「普通」と「特別」で取り扱える範囲が異なり、特別ボイラー溶接士は、第一種圧力容器などを含む全てのボイラーの溶接作業に従事できます。一方、普通ボイラー溶接士は、溶接部の厚みが2ミリ以下の場合や、ボイラーに管台やフランジなどを取り付ける作業のみに限定されています。
ボイラー溶接士の資格の取得方法
普通ボイラー溶接士・特別ボイラー溶接士試験に合格すれば、免許が取得できます。いずれも学科・実技試験がありますので、事前に確認しておきましょう。普通ボイラー溶接士免許を受験するためには、自動溶接・ガス溶接を除く1年以上の実務経験が必須です。また、特別ボイラー溶接士免許試験は、普通ボイラー溶接士の免許取得後に、ガス溶接・自動溶接以外のボイラーや、第一種圧力容器の溶接作業の1年以上の実務経験がなければ受講できません。
普通・特別共に手数料は6,800円で、実技試験料は普通ボイラー溶接士は18,900円、特別ボイラー溶接士は21,800円です。
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- この見出しのポイント!
- ボイラー溶接士の資格は専門性が高く有資格者に向けた求人数も多いです。難易度もそこまでは高くないので興味を持たれた方は挑戦してみてください。
溶接作業指導者の資格について解説!
溶接を必要とする仕事の班長や職長、現場監督向けの民間資格が「溶接作業指導者」です。溶接作業指導者の主な役割は、現場の溶接技術者と溶接管理技術者との連携を計ることで、溶接に関する深い知識・経験が必要とされます。溶接作業指導者の資格受験は、一般社団法人日本溶接協会が管理しています。
溶接作業指導者の資格の取得方法
3日間の講習会を受講し、所定の筆記試験に合格すれば溶接作業指導者の資格を取得できます。また、溶接監理技術者の資格を持っていれば、初日と2日目の講習が免除されますので、確認しておきましょう。溶接作業指導者の資格には2種類の資格があり、1つの資格は満25歳以上でなければ受験できません。2つ目の資格は、所定の溶接資格を取得してから最低でも3年以上の実務経験が必要です。
溶接作業指導者の受講費用は、講習会と受験費用を合わせて51,700円です。溶接管理技術者の資格を持ち、3日目の講習会のみを資格する場合は、受験費用と合わせて19,800円で受講できます。
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- この見出しのポイント!
- 深い知識と経験を必要とする溶接作業指導者の資格を取得することで、現場のリーダーとして活躍できる可能性が高まります。取得の義務はありませんが持っておいて損のない資格です。
それぞれの溶接資格の取得難易度は?
溶接資格には多くの種類があり、資格によって難易度も大きく異なっています。中には特別講習を受講することで簡単に合格できる「未経験者向け」の資格から、難易度の高い「経験者向け」までさまざまで、自分が受験する資格の難易度が判別しにくいです。そこでここからは、それぞれの資格の難易度を解説していきます。
未経験者向けの溶接資格
アーク溶接やガス溶接士の資格は溶接資格の入門編となり、試験が簡単で、講習さえ受講すればほとんど取得できます。未経験者におすすめの簡単な資格と言えます。受験するための実務経験なども必要ありませんので、このような観点からも未経験者向けの資格です。
経験者向けの溶接資格
ボイラー溶接士は、技能試験がとても難しいです。特に「特別ボイラー溶接士」に合格するためには、かなりの溶接の腕前が必要です。受験に関しては実務経験も必須ですので、経験者向けの資格と言えます。また、溶接作業指導者もある程度の経験と実務経験がなければ受験できない経験者向けの資格です。
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- この見出しのポイント!
- 溶接資格によって取得の難易度は異なります。自分のやりたい仕事と技量に合った資格を取得することがいい現場を見つける近道となります。
溶接の資格には更新が必要か?
溶接の技能講習であれば更新などは必要ではありませんが、国家資格であれば更新手続きが必要です。更新の詳しい内容は、資格取得後の2年後まではサーベイランスのみで済みますが、3年目に溶接の実技再検定試験をおこないます。3年目の実技再検定試験に合格すれば資格の継続が可能ですが、失格すれば資格が失効されてしまいますので、事前に確認して準備をしておきましょう。
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- この見出しのポイント!
- 更新のある溶接資格を失効してしまうと再度取得をする必要があります。取得した資格を失効しないためにも更新のタイミングはしっかり把握しておきましょう。
工場求人ナビ掲載の溶接求人の特徴
溶接求人の種類は多岐にわたりますが、「求人ナビ」掲載の溶接求人では日勤の仕事が多く、土日が休みの場合が多いため、プライベートを重視できるメリットがあります。さらには、男女ともに多くの方が現場で活躍しています。
まとめ:溶接の仕事に就くには
資格の取得が必須!
本記事では、さまざまな溶接資格について詳しく解説をおこない、業務などについて解説してきました。今の自分に合う資格を見極めて取得し、「工場求人ナビ」を利用して溶接求人を探してみてはいかがでしょうか。