倉庫管理の仕事内容や作業をスムーズに進めるコツ、向いている人の特徴を解説

集配センターなどの物流業をはじめ、製造業・工場の求人でもよく見かける倉庫管理の仕事。製造業の工場における倉庫管理とは、原材料の入出庫、保管、製品の出荷、在庫管理など、バックヤードでの一連業務を管理する仕事です。まずは、工場の倉庫管理業務の基本的な流れを見ていきましょう。

【1】製品の製造に必要な資材や部品などの部材を調達し、適切な形で工場の倉庫に保管します。
【2】生産管理の指示に従って、倉庫に保管された部材を工場の生産ラインに運搬・供給します。
【3】生産ラインで製造された製品を、適切な形で工場の倉庫に保管します。
【4】工場の倉庫に保管された製品を納入先に出荷します。

では、製造業の倉庫管理の仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。以下、主な3つの業務とそれぞれの作業内容について解説します。

サプライヤーから納品された部材を倉庫に運び入れ、伝票の内容と一致しているかを確認します。次に、部材を検品して不備・不良がないかを確認し、問題がなければ倉庫内の指定された場所に適切な形で保管します。また、部材の出庫作業を行う際にも、品目や数量、入庫期日などに間違いがないかを確認したうえで、工場の生産ラインに運搬・供給します。

出荷のオーダーに対して在庫確認やピッキング、検品、梱包、発送手配の作業を行います。まず、倉庫から該当する製品をピックアップし、破損や不良品はないか検品します。次に、緩衝材や段ボールなどを使って製品を梱包し、伝票と中身に相違がないかを照合したのち発送の手配を行います。

倉庫内の部材や製品の在庫数を確認し、発注量や発注・出荷のタイミングを管理します。また、在庫品の保管場所や保管状態も確認し、部材や製品の特性に合わせた状態で保管できているかをチェックします。出庫・出荷は入庫した順番に行うことが基本となるため、入庫期日や保管期間、出荷予定日などについても管理します。

倉庫管理の業務は、人手で行う作業もあれば、機械や設備を活用した作業もありますが、以下のコツを押さえておくと、よりスムーズに作業を進めることができるでしょう。

倉庫管理業務をスムーズに進めるコツ
●適切なロケーション管理を行う
●ピッキングリストの書き方を工夫する

ロケーション管理とは、部材や在庫品、備品などの保管場所を管理することです。倉庫内の「どこに何があるのか」を明確にし、作業環境を考えて適切な場所に保管することで、移動距離（作業動線）や作業時間の短縮を図ることができます。一例として、以下のような管理方法が挙げられます。

●同じカテゴリーの部材や製品を、同じエリアにまとめて配置する
●入出庫頻度の高い部材や、出荷が近い製品を出入り口付近に配置する
●連続する作業（検品⇒梱包⇒出荷など）のエリアを近くに設ける
●作業に必要な備品は、その作業を行うエリアの近くに保管する

ピッキングリストとは、ピッキング作業を行う際の指示書です。出庫・出荷作業では、ピッキングリストに書かれた複数の品目を、倉庫内から探して集めていくため、リストの書き方次第で作業の効率が大きく変わってくるのです。

たとえば、ピッキングリストの品目が、倉庫内のあちこちのエリアに散らばった順番で書かれていると、集める際の移動距離が長くなり、時間も余計にかかってしまいます。一方で、ピッキングリストの品目が、倉庫内の近いエリア順やエリアごとに書いてあれば、あちこち歩き回らずに済むため、移動距離や時間を最小限に抑えることができます。

人手不足が懸念される近年、倉庫作業の効率化・省人化・自動化を図るために、倉庫管理システムを導入する企業が増えています。これにより、倉庫内の保管場所や入出荷状況、在庫状況などの情報を一括管理し、現場の作業工程が標準化されるため、作業の効率化とともにヒューマンエラーの低減にもつながります。

そうした中で「人間の仕事がなくなるのでは……」と危惧する声もあるようですが、最終的に人の手を必要とする作業はまだまだ多くあります。倉庫管理システムを活用することで、働く人の負担やミスが減って作業がラクになり、より付加価値の高いサービスを生み出すことにもつながるでしょう。

倉庫管理の仕事は未経験からでも従事できますが、人によって向き・不向きがあります。ここからは、倉庫作業の仕事に向いている人の特徴を見ていきましょう。

倉庫管理の仕事に向いている人の特徴
●コミュニケーション力が高い
●集中力・注意力がある
●体力に自信がある

倉庫管理の仕事は、コミュニケーション力が高い人に向いています。多くの保管物を適切に管理するためには、他部署のスタッフや社外の人とも連絡を取り合い、連携して作業を進める必要があるからです。とくに、現場のリーダーや倉庫管理者を目指す人は、状況や指示を的確に伝達・把握するコミュニケーションスキルが必須となります。

社内外の人との連携が欠かせない倉庫管理の仕事ですが、多くの時間は一人で同じ作業を繰り返すルーティンワークに費やされます。そのため、単調な作業に飽きて集中力が途切れると、在庫数の数え間違いや伝票のチェック漏れなど、思わぬミスにつながることも。作業自体は簡単でも、それを黙々と正確にこなす集中力が求められるので、飽きっぽい人や注意力が散漫に人には厳しいかもしれません。

倉庫管理の仕事の中には、重量物を持ち上げて運んだり、1日中立ちっぱなしで作業をしたり、広い倉庫内をあちこち歩き回ったりと、身体に負荷のかかる力仕事や立ち仕事も多くあります。よって、身体を動かすことが好きで、体力面に自信があれば、倉庫管理の仕事をする上で大きな強みとなるでしょう。

倉庫管理の仕事の中には、保有していると有利になる資格もあります。以下、倉庫作業に役立つ資格の一例を紹介しましょう。

倉庫作業では、大きな資材や重量物をフォークリフトで運搬する場面も多くあります。フォークリフトの運転には資格（免許）が必須となるため、資格を持っていると仕事の幅が広がり、転職する際にも有利となるでしょう。

倉庫管理主任者は、倉庫の適切な管理を行うために選任される責任者です。倉庫の安全管理をはじめ、従業員の研修や労働災害・事故の防止など、倉庫全体の管理業務を担います。倉庫管理主任者の選任は、倉庫業法で義務づけられているため、資格を持っているとキャリアアップや転職時にも有利となるでしょう。

危険物取扱者は、消防法で定められた危険物を取り扱うために必要な資格です。一定量の危険物を貯蔵する施設では、危険物取扱者を配置することが義務づけられているため、工場の倉庫でガソリンや化学薬品などを保管・管理する業種で有利となります。

今回は、製造業における倉庫管理業務の流れや仕事内容、作業を効率的に進めるコツや向いている人の特徴、持っていると役立つ資格を紹介しました。

倉庫管理の仕事と聞くと、荷物を扱う物流業の現場をイメージしがちですが、製造業の工場でも多くのニーズがあり、さまざまな製品の製造や流通に欠かせない重要な役割を担っています。未経験OKの求人も多くありますので、倉庫作業や製造業の仕事に興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。また、自動化が進む倉庫では搬送装置を始めとしたロボットも導入されており、搬送装置などをメンテナンスする保全業務の需要も高まっています。

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