品質管理(QC)とは?業務内容や具体的な手法などをわかりやすく解説
2025/7/2 更新
製造業において、品質管理は製品の信頼保証に関わる重要な仕事です。本記事では、品質管理の具体的な業務内容や品質保証(QA)との違い、必要なスキルや向いている人の特徴について解説します。品質管理の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
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■目次
- 1.品質管理(QC)とは?
- ・品質保証(QA)との違い
- 2.品質管理(QC)の役割
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・工程管理
・検査業務
・品質改善
- 3.品質管理(QC)の業務内容
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・作業工程や体制の整備・管理
・品質基準の整備・管理
・製品の点検
・設備の点検
・不良品の分析と対策
・品質改善のための人材教育
- 4.品質管理(QC)に必要な6つの手法と考え方
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・①QC7つ道具
・②PDCAサイクル
・③5S
・④4M
・⑤IE
・⑥TQC・TQM
- 5.品質管理(QC)の仕事で必要なスキル
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・論理的思考能力
・リスクマネジメントスキル
・コミュニケーション能力
- 6.品質管理(QC)で有利になる資格
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・品質管理検定(QC検定)
・R-Map実践技術者認定制度
- 7.品質管理(QC)の仕事が向いている人の特徴
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・責任感が強い人
・ロジカルシンキングが得意な人
・コミュニケーション能力が高い人
- 8.まとめ
1.品質管理(QC)とは?
品質管理(QC=Quality Control)とは、製品の製造やサービスにおいて品質の低下や不良品の流出を防ぎ、問題がないかを検証・保証することです。製品やサービスが、消費者の要求に応える一定の品質基準を満たしているか管理し、顧客の満足度向上や信頼性確保を目的としています。
品質保証(QA)との違い
品質管理(QC)と似ているものとして「品質保証(QA)」がありますが、それぞれ業務内容に違いがあります。
| 品質管理(QC) | 品質目標の設定、工程管理、品質改善、原材料や部品の検査、品質改善活動など |
| 品質保証(QA) | 製品の開発・企画段階の品質確保、顧客からのクレーム・問い合わせ対応、市場調査など |
「品質保証」は、製品やサービスの企画・設計~販売後の顧客対応など幅広い範囲を長期間に渡って担うのに対し、「品質管理」は製造現場の管理や製造過程のみという、製造工程に限定した品質を保つ活動を指します。
しかし、企業や工場によって品質管理と品質保証の区分がはっきりと分かれておらず、明確に業務を分けていない場合もあります。
2.品質管理(QC)の役割
製造業界における品質管理は、大きく3つに分かれます。それぞれどのような役割を担うのかを以下で解説します。
工程管理
工程管理では、品質のばらつきを無くすために適切な作業手順の標準化を目指します。また、製造メンバーに対して教育訓練やOJTを行い、高いレベルでの作業ができるように環境を整えます。
設備の維持管理やメンテナンスに努め、機械の異常やトラブルを早期に発見し、製品が常に正常な状態で生産されることを目的とします。
検査業務
検査業務では、原材料や部品などを受け入れる際に受入検査を行い、不良品の発生を防止します。また、製造工程の途中で行う工程内検査、最終的に出来上がった製品の品質を検証する完成品検査も行います。
品質改善
品質改善では、発生した不適合の再発防止、今後また発生するかもしれない不適合の未然防止のためのアプローチを行います。現状の把握や原因の分析など、問題解決のための一連のステップにもとづいて行うものです。原因を究明し、原因になる要素を取り除いて、不良品発生の再発防止に努めます。
3.品質管理(QC)の業務内容
上記で解説した3つの役割を踏まえ、ここでは品質管理のより具体的な業務内容をご紹介します。
作業工程や体制の整備・管理
製品を生産する現場で、確かな品質のモノを適切な作業工程や体制で製造するための整備・管理を行います。具体的な業務内容としては、作業手順のマニュアル作成や設備の維持管理、メンテナンスなどです。作業工程が常に適切な状態に保たれるように管理します。
品質基準の整備・管理
原材料や部品納入時の「受入検査」や製品の製造中の「工程内検査」、完成した製品の「完成品検査」など、品質検証を確実に行いながら整備・管理します。不良品の製造などは企業としての信頼を大きく失ってしまうことに繋がるため、不適合品の未然防止に努めます。
製品の点検
製造途中の製品も定期的に検査し、不適合品が次の工程に流れるのを防止します。傷や汚れなどがないかの外観検査、仕様通りに動くかどうかの機能検査や耐久性などのテストも、品質管理の業務の一つです。近年では、AIによる画像認識技術を取り入れた検査も行われています。
設備の点検
品質管理の業務内容には、設備の維持や管理も含まれます。日常点検や修繕・修理、メンテナンス、部品交換などを行い、設備にある異常を早期発見して故障や労働災害を未然に防止します。
不良品の分析と対策
不良品が発生した場合の再発防止として、現状の把握や分析、対策立案などを行います。データ収集や不良分析で原因を徹底的に洗い出し、根本原因を突き止め再発防止に努めます。
品質改善のための人材教育
品質管理や品質改善のために、OJTや研修、作業訓練を取り入れ、部下育成や人材教育に努めます。先輩や上司の指導のもと、実務経験を通じて高いレベルでの作業や品質を作りこむためのスキルを習得します。
4.品質管理(QC)に必要な6つの手法と考え方
品質管理では、さまざまな手法を組み合わせることで品質を高めていきます。ここからは品質管理を行う上で欠かせない、具体的な手法や考え方をご紹介します。
①QC7つ道具
品質管理において、代表的な手法が「QC7つ道具」と呼ばれるものです。品質管理の基本スキルといえるので、あらかじめ押さえておきましょう。
| スキル名 | スキル詳細 |
|---|---|
| パレート図 | 特定の現象を原因別に並べ、問題の優先順位をつける |
| 特性要因図 | 原因と特性の関係を整理し、問題の原因を探る |
| チェックシート | データを正確に収集し、問題発生の状況を明確にする |
| グラフ | データをわかりやすく表し、問題の特定や改善に努める |
| ヒストグラム | データの分布やばらつきを視覚的に示し、問題や原因を特定する |
| 散布図 | 2つの変数の関係をグラフで表現し、相関関係を調べる |
| 管理図 | データを記録し、工程の管理状態や異常を検知する |
②PDCAサイクル
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)というマネジメント手法で、製造業界に限らず幅広いビジネスシーンで活用されています。それぞれのプロセスを回すことで業務の質を高め、継続的に課題の改善に努めます。
③5S
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5つを指す言葉です。働きやすい職場環境作りや環境改善を目的とし、一人ひとりが5Sを徹底することで作業効率化による生産性の向上や職員のモラルの向上、良好なチームワーク作りなど、さまざまな効果が期待できます。
④4M
4Mとは、Man(人)・Machine(機械)・Material(材料)・Method(方法)という4つの要素で構成されるもので、適切な品質管理を行うために重要とされる考え方です。人材のスキルや経験、設備のメンテナンス状況、材料の品質、作業手順や指示書の4つの視点から捉えることで、業務効率化や品質の安定化を目指します。
⑤IE
IEとは、Industrial Engineering(インダストリアルエンジニアリング)の略語で、工程や業務内容を分析し現場の生産性を向上させるための技法です。日本では内容によって「産業工学」「生産工学」などと訳されます。科学的な手法で現場の工程を分析することで、無駄な生産活動を排除し、最適な方法を設計するのに役立ちます。
⑥TQC・TQM
TQC(Total Quality Control)とは、製造部門だけでなく、全社を巻き込んだ品質管理を指します。製造業を中心に多くの企業で導入されていて、設計や販売、アフターサービスなど、製品に携わる全ての部門が連携します。高い品質が求められる製造業では、特に重要視される考え方です。
TQM(Total Quality Management)もTQCと同様に、全社的に品質管理を行う手法を指しますが、TQCは主に製造業を中心に導入されているものに対し、TQMはTQCを発展させたもので、製造業に限らず医療や福祉などのサービス業にも適用されます。
5.品質管理(QC)の仕事で必要なスキル
品質管理の仕事において求められるスキルはどのようなものか、以下で解説します。
論理的思考能力
不良品や不具合が発生した場合、原因を突き止めるためには論理的思考が必要です。物事を順序立てて考える論理的思考により、原因を迅速かつ正確に特定し、適切な対処法を導き出せます。
リスクマネジメントスキル
品質管理の仕事において、リスクマネジメントスキルはとても重要です。品質管理の求人では、特に重要視される能力のひとつです。品質管理では、不良品を未然に防ぐ必要があるため、事前に想定されるリスク管理や、万が一不具合が発生した場合も冷静に対処できる能力が必要です。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、品質管理では欠かせないスキルです。品質管理は製品や設備のことだけでなく、製造スタッフや設備を動かす社員との円滑なコミュニケーションが必要となります。また、他部署やクライアントとのやり取りも頻繁に起こるため、情報を明確に伝えることや相手の話を聞く傾聴力も重要視されます。
6.品質管理(QC)で有利になる資格
品質管理の仕事に就くうえで、必要となる資格は特にありません。しかし、取得しておくと業務に役立ち、就職活動や転職の際に有利に働く資格がいくつかあります。
品質管理検定(QC検定)
品質管理検定(QC検定)は、品質管理の知識を問う民間資格です。上位から1級~4級のレベルが設定され、工場での品質管理で働く場合は2級以上の知識があると企業からの評価が高まります。
品質管理検定(QC検定)についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
R-Map実践技術者認定制度
R-Map(リスクマップ)を使ったリスク評価や、リスクアセスメントのスキルを学んだことを示せる認定資格です。R-Mapは幅広いシーンでのリスクの可視化に利用できるので、リスクマネジメントが必須となる品質管理には役立つ資格であるといえます。
7.品質管理(QC)の仕事が向いている人の特徴
品質管理の仕事に向いている人の特徴を以下に挙げました。ぜひ参考にしてみてください。
責任感が強い人
品質管理の仕事は、製品の品質を左右する仕事であるため、責任感があり常に冷静に考えて行動できる人に向いています。仕事をする上でミスを見逃してしまうと大量の不良品が製造されることになり、そのぶんのコストや人件費などが無駄となってしまいます。また、そのまま気付かずに製品が流通してしまうとブランドイメージの低下や企業経営への悪化にも繋がる原因となるでしょう。
プレッシャーの大きい仕事であることから、責任感があり、トラブルにも冷静に対応できる人が向いています。
ロジカルシンキングが得意な人
ロジカルシンキングが得意な人は、品質管理の仕事に向いています。不具合が発生したときは、原因を追究するためにさまざまな分析ツールを使用し、ロジカルな思考で原因を突き止めなければなりません。また、自分の考えを言葉に出して伝えたり、データをもとに論理を展開し具体的に表現したりすることも求められます。
コミュニケーション能力が高い人
品質管理の仕事は製造現場のスタッフだけでなく、設計部門など多くの人とのやり取りが発生します。不良品が発生した場合は原因を突き止めるため、データを収集する以外にもスタッフへの聞き取りなども必要です。
必要な情報を得るためのコミュニケーションスキルも必要ですし、不良品の発生を防止するための製造現場への指示だしの際には相手が不快な気持ちにならないよう、言葉に配慮しながら伝える必要があります。
8.まとめ
幅広い業務に対応し、責任やプレッシャーの大きい仕事であることから「仕事がきつい」という意見も見られる品質管理ですが、モノ作りに携わることでやりがいがあり、社会貢献度が高い仕事です。また、品質管理の仕事は需要が安定して高く、将来性も非常に明るい職種といわれているため、長く働いてキャリアを築いていきたい方にもおすすめです。
品質管理が未経験でも歓迎している求人も多いため、品質管理の仕事に興味がある方はぜひ検討してみてください。
