製薬工場の仕事内容は?働くメリット・デメリットをわかりやすく解説
2025/5/26 更新
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今回の工場求人ナビでは、人の命や健康を守るために欠かせない、医薬品や医薬部外品を製造する製薬工場。製薬工場で働くことに興味があっても「知識や経験が必要?」「自分に向いている仕事?」と疑問に思う方もいるでしょう。本記事では、製薬工場の仕事内容やメリット、デメリットなどについて詳しく解説します。
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■目次
- 1.製薬工場とは?
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・医薬品と医薬部外品の違い
・医薬品・医薬部外品の製造工程
・①受入検査
・②秤量(ひょうりょう)
・③造粒(ぞうりゅう)・混合
・④打錠(だじょう)
・⑤コーティング
・⑥印刷
・⑦検査
・⑧包装
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2.製薬工場での主な仕事内容
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・原薬製造
・製剤
・包装・充填
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3.製薬工場で働くメリット4つ
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・①未経験でもOKな仕事がある
・②人の役に立つ仕事に携われる
・③夜勤が少ない
・④きれいな職場環境で働ける
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4.製薬工場で働くデメリット2つ
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・①身だしなみの規定が厳しい
・②工場内のルールが厳格
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5.製薬工場で働くために必要な資格とスキル
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6.製薬工場での勤務が向いている人
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・医療関連の業界に興味がある人
・責任感がある人
・丁寧さを求められる作業が得意な人
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7.まとめ
製薬工場とは?
製薬工場とは、医薬品・医薬部外品の製造および生産管理を行う工場を指します。薬品を扱うため、厳格な衛生管理が求められます。5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が徹底されており、温度や湿度が管理されたクリーンルームでの作業が基本です。また製薬工場で働く人には、身だしなみに関する細かいルールも定められています。
医薬品と医薬部外品の違い
製薬工場で作られる医薬品と医薬部外品には、それぞれ明確な違いがあります。
「医薬品」は病気の治療や予防を目的とした薬のことで、医師が患者に処方する医療用医薬品と、一般人がドラッグストア等で購入できる一般用医薬品に分けられます。一般用医薬品は、第1類、第2類、第3類医薬品に分けられ、一般用医薬品の商品の例としては頭痛薬、風邪薬、胃腸薬などが該当します。
「医薬部外品」は厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されているものです。主に予防、衛生を目的に作られている製品を指し、育毛剤や薬用歯磨き、殺菌・消毒剤などが挙げられます。医薬部外品は、医薬品と化粧品の中間の位置にあたる製品です。
医薬品・医薬部外品の製造工程
製薬工場で働くことを検討している方は、医薬品や医薬部外品がどのような流れで作られているかを知っておくとよいでしょう。ここでは、製造の流れや内容を各工程ごとに解説します。
①受入検査
原材料、梱包資材を入荷し、発注内容や品質をチェックします。この受入検査は、薬の本体となる原薬以外にもラベルや包装材など、医薬品・医薬部外品の製造に関係するものすべてにおよびます。品質チェックや梱包の外観に問題がないかを確認する受入検査は、薬の安全性や製品の品質を向上させる重要な仕事です。
②秤量(ひょうりょう)
秤量では、原薬や添加物などをカプセルや錠剤にするため、はかりを使って正確に量ります。秤量は、安全性や製品の品質に関わる重要な作業であることから、コンピュータで管理するシステムが導入されているのが一般的です。
③造粒(ぞうりゅう)・混合
原材料を粉末の状態から、顆粒の状態に加工する作業です。精製水などの結合剤を混ぜ合わせて顆粒にしていきます。その後、顆粒と他の添加剤を混合室で混ぜ合わせます。製品の有効成分を均一に混合し、品質や効果のばらつきを無くすことが目的です。
④打錠(だじょう)
顆粒を打錠機に入れ、「うす」と「きね」を使用して圧力をかけて均一な形状・サイズに成型する工程です。成型した錠剤は質量や厚みなどを測定し、打錠機が正確に稼動しているかを確認します。この際に、金属検知機で金属の混入がないことも確認します。
⑤コーティング
錠剤やカプセルなどを薄いフィルムでコーティングします。錠剤コーティングには、苦味や独特の匂いを抑えて飲みやすくする、錠剤を保護して安定性を高める、薬用成分が体内へ吸収されるタイミングの調整役割など、さまざまな目的があります。
⑥印刷
錠剤の表面に製品名や識別コード、製造元のロゴなどの文字を印刷します。この際、飲み込んでも人体に影響がない可食性インクを使用するのが一般的です。錠剤表面に印刷することで錠剤を簡単に区別しやすくなり、誤飲や調剤ミスの防止、偽造品の識別といった役割もあります。
⑦検査
成型された錠剤、カプセル剤に汚れや欠けがないか、外観検査機による検査を行います。一つずつの錠剤を複数のカメラであらゆる角度から検査し、欠けなどの問題があるものは取り除かれ、検査をクリアした製品は次の包装作業に送られます。
⑧包装
製品の品質や安全性の維持、劣化防止などのために包装資材を使用して錠剤、カプセルを保護する工程です。錠剤やカプセルを入れるPTPシートに異物が混入していないかを検査し、問題がなければ製品を詰め、アルミ箔で覆ってシールします。最終包装パッケージには、使用方法の説明や警告など、安全性を確保する役割もあります。
製薬工場での主な仕事内容
一言で製薬工場での仕事といっても、さまざまな仕事があります。製品の製造工程によって仕事内容も変わるため、それぞれ解説していきます。
原薬製造
原薬製造では、医薬品のもとになる原薬を合成、加工します。原料の選定や調達、化合物から不要な物質を取り除く精製などさまざまな工程があります。
原薬製造は人の命に直接関わる仕事のため、専門知識や高度の技術が求められる仕事です。
製剤
製剤では原薬に添加物などを混ぜて、錠剤やカプセル、注射剤などに加工する作業です。厳格な品質管理のもと原薬を服用しやすい形に加工し、安全に患者に提供します。
製剤にも新しい製剤技術の研究を行う製剤研究、製剤の開発を進める製剤開発などさまざまな種類の仕事があります。製剤に関する高度な技術や専門知識が身につくと同時に、自分が関わった製品が社会に貢献しているというやりがいも感じられます。
包装・充填
医薬品、医薬部外品の包装や充填の仕事は、錠剤やカプセル剤などをシートに詰める、液体の場合は瓶や容器に詰める作業です。これらの作業は機械で行うこともあれば、手作業で行う場合もあります。また、製品の使用方法が記載された説明書の封入や、出荷するため段ボール箱に梱包する作業が含まれる場合もあります。
製薬工場で働くメリット4つ
ここからは医薬品、医薬部外品の製造を行う製薬工場で働くメリットを4つご紹介します。製薬工場での勤務に興味がある方はぜひ参考にしてください。
①未経験でもOKな仕事がある
製薬工場には、未経験でも働ける仕事が多くあります。基本的にマニュアルが完備されているため、専門の知識や技術がなくてもできる仕事が多いです。入社後の研修や、先輩からの指導を受けることで未経験でも安心して仕事を始められます。
また、社員登用制度がある企業を選べば、実績を積むことでアルバイトやパート社員からでも正社員を目指すことが可能です。
②人の役に立つ仕事に携われる
医薬品の製造は人の命に直接関わるため、社会貢献度が高く、人の役に立つ仕事に就きたい方におすすめです。医薬品や医薬部外品の製造に携わる製薬工場での仕事は、多くの患者の健康や命を救うことになり、大きなやりがいが感じられるでしょう。
③夜勤が少ない
工場勤務というと夜勤があるイメージを持つ方も多いかもしれませんが、製薬工場での勤務は基本的に日勤が多いです。夜勤がある職場は少ないため、規則正しい生活リズムを維持しやすく健康面やメンタル面への負担も少ないでしょう。家族との時間や趣味に時間を割くこともできます。
④きれいな職場環境で働ける
人の命に関わる医薬品を製造する製薬工場では、異物混入を防ぐ目的で衛生環境が徹底的に管理されたクリーンルームで働くことが基本です。厳格に温度や湿度が管理され、チリやホコリ一つない清潔な空間で働くことになるため、きれいな職場環境で働きたい方におすすめです。
工場勤務というと空調が効きづらく夏は暑くて冬は寒い、化学物質などの匂いがきついなどのイメージを持つ方もいるかもしれませんが、製薬工場ではこういったことは少ないため快適に働けます。
製薬工場で働くデメリット2つ
製薬工場で働くことは、メリットがある反面デメリットもいくつかあります。こちらもあわせて参考にしてください。
①身だしなみの規定が厳しい
製薬工場での衛生管理は職場環境だけでなく、働く人の身だしなみに関しても規定が細かく決められています。工場にもよりますが、以下のようなルールがあるのが一般的です。
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製薬工場で働く際の基本的な身だしなみルール
●顔以外が露出しない無塵衣(むじんい)の着用
●髪はネットで覆い、ヘアキャップやマスク、ゴーグルなどを装着
●メイク、香水、ネイル禁止(爪は短く切る)
●腕時計やアクセサリーなどの貴金属の装着禁止
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これまで自由な服装で働いてきた方や、会社の規定に縛られるのが苦手という方は辛く感じるかもしれません。
②工場内のルールが厳格
作業をするクリーンルームに入室する際には、クリーンウェアに着替えた後に手洗い、ゴーグルやマスクの装着後、エアシャワー室を通って部屋に入るという流れが必要となります。そのため、作業中にトイレに行きたくなった際にもクリーンウェアをいったん脱ぎ、作業を再開する際には同様の手順を踏んで入室することがルールとなっている場合が多いため、面倒に感じる方も少なくないようです。
なお、ホコリやチリが舞い上がらないように移動の仕方にも気を使います。走るなどの激しい動きは控え静かに動く、床に手や膝をつくことも禁止される場合がほとんどです。製薬工場での仕事に慣れるまでは、このような細かいルールが辛く感じるかもしれません。
製薬工場で働くために必要な資格とスキル
製薬工場で働くうえで、特別な資格やスキルは必要ありません。しかし、医薬品の製造や品質管理などに関わる薬剤師、危険物取扱者、毒物劇物取扱責任者などの資格を取得しているとより仕事の幅が広がり、キャリアアップや転職でも役立つでしょう。
製薬工場で腰を据えて長く働いていきたいと考えている方は、これらの資格取得を検討してみてください。
製薬工場での勤務が向いている人
最後に製薬工場での勤務が向いている人について、以下で解説します。あてはまる方は、ぜひ製薬工場で働くことを検討してみてください。
医療関連の業界に興味がある人
人の命や健康を守る医薬品製造は、医療関連の業界に興味がある方におすすめです。医療業界にはさまざまな職種や仕事がありますが、興味を持って働いてみたいと感じても資格が必要となる場合も多く、資格取得のための勉強が必要になるなど、実際に働くまでに時間がかかることも多いです。
一方製薬工場では、特別な資格は必要なく未経験でも働ける職場が多いため、医療関連の仕事に興味がある方でも挑戦しやすいのがポイントと言えます。人助けができて、社会貢献ができる医療関連の仕事に就きたいと考えている方はぜひ検討してみてください。
責任感がある人
人の命に関わる医薬品を製造する製薬工場での仕事は、高い衛生基準を守るため、仕事内容だけでなく服装や行動まで厳格なルールが定められています。厳しいルールをきちんと守れる、真面目で誠実な人はおすすめです。
丁寧さを求められる作業が得意な人
医薬品を取り扱う製薬工場では、慎重かつ丁寧に作業することが求められます。人の命を支える重要な仕事であることを自覚し、作業手順をきちんと守って正確・丁寧に作業できる方におすすめです。製薬工場での仕事は普段から慎重に行動している方や、集中力が続きやすい方にも向いています。
まとめ
人の健康や命を守る製薬工場は、日本の高齢化社会においても需要が安定している業界と言えます。専門的な知識は必要なく、未経験でも働きやすい製薬工場での仕事に興味がある方は、ぜひ今回の記事内容を参考にしてください。
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