製造業の種類や仕事内容まで徹底解説!
2023/11/14 更新
「製造業」と聞くと、工場でのライン作業やモノづくりの現場を思い浮かべる方が多いかもしれません。「工場でのライン作業」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、製造業には製品をつくる工程だけでなく、検査や梱包、出荷準備といった幅広い仕事があります。
この記事では、製造業の職種や仕事内容はどんなものなのか、転職を検討しているけどイメージが湧かない方に向けて、製造業についての詳細をご紹介いたします。
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■目次
- 製造業とは?わかりやすく意味と役割を解説
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・製造業は簡単に言うと「製品を生産する産業」のこと
・製造業は日本の産業を支えている
・製造業とメーカーの違い ・製造業とメーカーの違い - ●製造業の代表的な5業種
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・金属関連
・機器関連
・電子部品関連
・食品関連
・自動車関連
- ●製造業の3つの職種
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・企画・商品開発など「作る前」の仕事
・ライン作業・組立・検査などの現場職
・品質管理や営業など「作った後」の仕事
- ●製造業に向いている人の特徴とは?
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・手を動かす作業が好き・得意な人
・ルールや手順をきちんと守れる人
・集中力を保てる人・気が散りにくい人
・体を動かすことに抵抗がない人
・安定志向で長く働きたい人
- ●製造業のキャリアパスは?現場から管理職・専門職への道も
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・はじめは現場作業からスタートが基本
・リーダー・班長など管理的な役割へステップアップ
・品質管理や生産管理など専門職への転向も可能
・資格取得やスキルアップで昇進のチャンスが広がる
- ●モノづくり大国・日本!製造業で国を支えよう
- ●製造業に携わるなら資格取得がおすすめ
- ●まとめ
製造業とは?わかりやすく意味と役割を解説
私たちの身の回りにあるモノの多くは、製造業によってつくられています。この章では、その意味や役割をわかりやすく解説します。
製造業は簡単に言うと「製品を生産する産業」のこと
製造業とは、簡単に言えば「製品を生産する産業」のことです。原材料を加工し、私たちの生活に必要な製品を作り出す仕事全般が含まれます。
たとえば、自動車や家電、食品、衣類、医薬品など、日常で使うモノの多くは製造業によって生み出されています。製品を「つくる」だけでなく、組み立て・加工・検査・梱包など、その工程はさまざまです。
仕事内容は、機械操作やライン作業だけでなく、検査、梱包、出荷準備など多岐にわたります。現場によっては軽作業が中心のところもあり、未経験からスタートできる仕事も多いのが特徴です。製造業は、身近なモノづくりを支える重要な分野であり、さまざまな働き方が選べる点も魅力のひとつです。
製造業は日本の産業を支えている
日本のGDP=国内総生産(国内で産出された製品やサービスの付加価値の合計)は約530兆円ですが、その中に占める製造業の割合は全体の5分の1、その額は約100兆円の規模です。
世界でも有数の「ものづくり大国」として評価されており、先進国の技術革新や、新興国の安価な生産物に対する需要の高まりなど、取り巻く環境は課題を含めて日々変化していますが、今でも日本の経済を支える大きな役割を果たしています。
製造業とメーカーの違い
「製造業」と「メーカー」は似たような意味で使われがちですが、厳密には少し違いがあります。製造業とは、モノをつくる産業全体を指す言葉で、自動車、食品、化学、電機などさまざまな分野が含まれます。
一方で「メーカー」は、製造業の中でも実際に商品を企画・設計・製造している企業そのものを指します。つまり、製造業が「業種」なのに対し、メーカーはその業種に属する「企業」のことです。
製造業の平均年収とは?
厚生労働省がまとめた資料「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」によると、製造業全体の平均年収は384万円です。月収に換算すると約32万円ですから十分な収入と言えるでしょう。さらに、技術や知識、資格の有無などで年収を大きく引き上げることができます。製造業はスキルや目標があれば大きく年収を引き上げる事ができる、やりがいのある仕事かもしれません。
製造業の代表的な5業種
製造業には多岐にわたる業種があります。その中でも代表的な5業種を紹介します。説明の中で気になった業種があればチェックしてください。
金属関連
金属は、私たちの身の回りにあるさまざまな製品に使われています。たとえば、コンピューターやスマートフォン、機械、家具に使われるネジなど、用途は非常に幅広く、製品を構成するうえで欠かせない部材です。こうした「製品の土台」となる素材であるため、金属加工や部品製造の仕事は需要が高く、ものづくりを支える重要な役割を担っています。必要とされる場面が多い分、安定性ややりがいの面でも魅力のある分野といえるでしょう。
機器関連
「機器」とは、わかりやすく言えば工場などで使われる「機械」を指します。たとえば、製品を作るための製造装置や、医療現場で使う医療機器などが該当します。こうした機器を製造するのが「機器関連」の仕事です。企業は自社製品を生産するために、必要な装置を機器メーカーに依頼して製造してもらうため、BtoB(企業間取引)が中心となり、高額な契約になることも多くあります。
産業用の機器は生産活動を支える重要な存在です。機器関連の仕事がなければ、多くの製品が世の中に生み出されることはありません。まさに、モノづくりを根本から支える大切な分野といえるでしょう。
電子部品関連
スマートフォンやコンピューターをはじめ、電卓やカーナビなどもすべて電子部品で構成されています。今や電子部品は、私たちの生活に欠かせない存在と言っても過言ではありません。近年では、冷蔵庫や電子レンジといった家電もインターネットに接続され、日常をより快適にする製品が増えています。
こうした「モノのインターネット(IoT)」は、近年最も注目されている技術の一つです。電子部品の製造現場では、最先端のテクノロジーに触れながら、未来の暮らしを支えるものづくりに関わることができます。
食品関連
食品関連とは、缶詰や冷凍食品、パン、カップラーメンなどの製造に関わる業種です。
食は人の生活に欠かせません。そのため、食品関連の仕事には常に一定の需要があり、将来も必要とされ続ける可能性が高いと言えます。景気の影響を受けにくく、安定性を重視する人にとっては魅力的な分野です。
また、食品製造の中には、衛生管理や品質管理などで国家資格が求められる仕事もあります。身近な分野で手に職をつけたい、安定した収入を得たいというニーズにも応えられる業種です。
自動車関連
自動車関連の仕事は、自動車そのものの製造はもちろん、部品の組み立てや塗装、検査、出荷準備など幅広い工程があります。車体の一部だけを専門に扱う工場も多く、ライン作業でコツコツ取り組むのが得意な人にも向いています。
近年は、自動運転や電気自動車(EV)など技術革新が進んでおり、最先端のものづくりに関われるチャンスも広がっています。体力が必要な場面もありますが、マニュアルや作業ルールが整っている職場が多いため、未経験でも始めやすいのが特徴です。車が好きな方や、安定した仕事を探している方におすすめの分野です。
製造業の3つの職種
一言で製造業と言っても、製品を作ることだけが仕事ではありません。正確に言えば製品を作る前段階と作る段階、作った後の段階の3段階に分けられます。ここでは、製造業の仕事内容を段階ごとに詳しく解説します。
企画・商品開発など「作る前」の仕事
製造業には、実際のモノづくりが始まる前に行う重要な仕事があります。たとえば、市場のニーズを分析して新商品を企画したり、製品の仕様やデザインを決めたりするのが商品開発の仕事です。作る前段階の製造業の仕事として、製品の企画や研究などが挙げられます。
また、製造に必要な材料や設備を手配したり、製造工程を設計したりと、現場がスムーズに動くための準備もこの段階で行います。クリエイティブさと論理性の両方が求められる分野であり、ものづくりの「最初の一歩」を担う重要な役割を果たしています。
ライン作業・組立・検査などの現場職
製造業の中核を担うのが、実際に手を動かして製品を作り上げる現場の仕事です。ライン作業では、あらかじめ決められた手順に従って部品を組み立てたり、製品を検査したりする作業が中心となります。
作業内容はシンプルなものも多く、未経験からでも挑戦しやすいのが特徴です。また、機械操作や検品といった役割もあり、集中力や正確さが求められます。実際に「モノができあがる瞬間」に関わる、やりがいのある仕事です。
品質管理や営業など「作った後」の仕事
製造業には、製品が完成したあとに関わる仕事も数多くあります。たとえば、品質管理では完成品に不具合がないかを確認し、基準を満たしているかをチェックします。また、営業職では製品の魅力を伝え、顧客に届ける役割を担います。
ほかにも、出荷準備や在庫管理など、製造後の流れを支える仕事もあります。「作るだけ」で終わらないのが製造業の特徴で、製品を世の中に届けるまでの工程にも多くの人が関わっています。
製造業の仕事は多種多様ですので興味のある分野をチェックすることが重要です。
参考までにこちらのサイトも見ておくと良いでしょう。
製造業に向いている人の特徴とは?
製造業が気になるけれど、自分に向いているかどうかわからないという方も多いでしょう。以下では製造業に向いている人の特徴を挙げているので、ぜひ参考にしてください。
手を動かす作業が好き・得意な人
手を動かす作業が好きな方、手先が器用な方は製造業がおすすめです。モノづくりが好きな方や、黙々と作業することが苦にならない方は活躍できます。機械の組み立てや溶接作業などさまざまな仕事がありますが、細かい作業が好きでモノづくりに喜びを感じるタイプの方はやりがいを感じられるでしょう。
ルールや手順をきちんと守れる人
製造業は、作業員の安全や業務効率化のために工場でのルールや作業手順が存在します。ルールや職場の規則を守って働くことは、品質問題を起こさないようにするための重要なポイントです。手順通りに作業を進める真面目な性格の人は、上司からの評価にも繋がります。
集中力を保てる人・気が散りにくい人
製造業は集中力が長く続く人や、気が散りにくい人におすすめです。作業中に気が散ってしまうと、不良品を見逃したり、思わぬ事故やケガにつながることもあるためです。一人で黙々と作業することが苦にならない方、長時間にわたって集中力が続く方におすすめです。
体を動かすことに抵抗がない人
製造業では重量物の取り扱いや立ち仕事や、長時間にわたる作業など、体力が必要となる場面が多いです。そのため、体力に自信がある方や体を動かすことに抵抗がない方は、製造業で高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
安定志向で長く働きたい人
製造業は日本の重要な産業であることから、雇用が安定していることがメリットです。特に大手メーカーでは、長期雇用を前提とした体制を整えている企業も多く、腰を据えて働きたい方に向いています。また、健康診断や保養施設の利用など、福利厚生が充実している企業も多いことも製造業の魅力といえるでしょう。
製造業のキャリアパスは?現場から管理職・専門職への道も
製造業では、長期的なキャリア形成が可能です。スキルや経験を活かし、どのようにキャリアを築いていくかを解説します。
はじめは現場作業からスタートが基本
製造業の多くは、まずライン作業や組立などの現場業務からスタートするのが一般的です。実際の製造工程を経験することで、モノづくりの流れや品質への理解が深まり、後のキャリアにも役立ちます。工場での作業は未経験からでも始められるものも多いため、まず簡単な作業からスタートしていき、実務経験を積んで徐々に専門性を高めていきましょう。
リーダー・班長など管理的な役割へステップアップ
正社員やリーダー、班長などにステップアップすることで、業務監督などの責任ある仕事を任されることがあります。現場の理解が深いほど、的確な判断や効率的な運営ができるため、リーダーとしての信頼も高まります。人との関わりが増える分、コミュニケーション力も重要になりますが、やりがいのあるポジションです。
品質管理や生産管理など専門職への転向も可能
製造現場での経験を活かし、品質管理や生産管理といった専門職へキャリアチェンジすることも可能です。品質管理では製品の不良を防ぐためのチェック体制や改善提案、生産管理では製造スケジュールの調整や在庫の最適化などを担当します。
これらの職種は専門知識が求められますが、現場経験がある人材は重宝される傾向にあります。より深くモノづくりに関わりたい方に適した道です。
資格取得やスキルアップで昇進のチャンスが広がる
製造業では、フォークリフトや玉掛け、クレーン操作などの資格取得がキャリアアップに直結するケースも多くあります。また、製造技術やマネジメントに関する研修制度を設けている企業も増えており、スキルアップの機会が豊富です。
こうした努力を重ねることで、現場のリーダー職や管理職、さらに専門職への道が開けます。自分次第で将来の選択肢を広げられるのも、製造業の魅力のひとつです。
モノづくり大国・日本!製造業で国を支えよう
日本人は古くからモノづくりが得意です。たとえば戦国時代に外国の火縄銃を参考に日本で作ったところ、外国のモノよりも遥かに性能の高い火縄銃を製造しました。日本人は辛抱強く、手先が器用で探求心を持って仕事をすることからも製造業に向いているとされています。
しかし、近年の日本は製造業に関しては海外から追い抜かれているというのが実情です。さまざまな要因が挙げられますが、「古い体制のままであること」「新しい技術に目を向けていない」「製造コストが海外の方が安い」などがあります。
以前は3K企業と呼ばれることが多かった製造業の工場ですが、近年は改善活動が活発化し、労働者の負担を減らす工夫がされています。まだ「製造業・工場=キツイ・危険」のイメージを持っている方も少なくありませんが、実際に、その作業を行う上で負担の掛かる動作や環境、設備を分析したうえでの作業効率化の推進、給与や待遇の改善にも力を入れており、福利厚生面でも寮の完備や利用しやすい社員食堂、無料の送迎など様々な努力と工夫が盛り込まれています。
また、政府も「ものづくり大国 日本」の復活を目指しデジタル庁を発足。IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)などの技術を積極的に採用する流れがあることからも今後は要注目です。
製造コストについては海外の方が安いのは事実はありますが、安ければ良いというわけではありません。物流のリスク、値段に見合ったクオリティや安全性というのは日本のモノづくりの強みであり、世界の中でも何よりも優位に立っています。
製造業に携わるなら資格取得がおすすめ
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まとめ
製造業の背景から種類や仕事内容について解説しました。製造業とは多種多様であり、顧客や製造する製品も千差万別です。しかし、その分だけ大きな可能性があることもわかっていただけたかと思います。自身が好きなものや興味のある業種がありましたら、ぜひ一度チェックしてください。きっとあなたが気になる仕事が見つかるはずです。
