高卒で工場勤務の仕事に就くメリット・デメリットやキャリアパスについて
2025/5/26 更新
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■目次
- 1.高卒でも活躍できる工場勤務の仕事
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2.工場勤務の主な仕事内容
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・ライン作業
・マシンオペレーター
・溶接(接合)・塗装
・ピッキング
・梱包・仕分け
・検査検品・品質管理
・生産管理
・設備管理・メンテナンス
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3.工場勤務の平均年収や年間休日をチェック
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・工場勤務の平均年収はどれぐらい?
・年齢別に見た工場勤務の平均年収は?
・製造業の年間休日は120日前後
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4.高卒で工場に勤務するメリット
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・未経験からでも仕事を始めやすい
・若いうちから高収入を目指せる
・昇進・昇給のチャンスが多い
・資格や免許の取得支援制度がある
・格安(無料)の寮や社食完備の職場が多い
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5.高卒で工場に勤務するデメリット
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・単純作業の繰り返しに飽きてしまう
・年齢とともに体力的な不安を感じることも
・生活リズムが不規則になりやすい
・家族や友人と予定が合わせにくい
・人脈が広がりにくい
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6.工場勤務に向いている人の特徴
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・一人でコツコツと集中して作業できる人
・体力や健康に自信がある人
・モノづくりが好き・手先が器用な人
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7.まとめ
高卒でも活躍できる工場勤務の仕事
「高卒で工場勤務の仕事に就くのは、将来的にどうなの? キャリアアップや活躍のチャンスはある?」と疑問や不安を感じている人もいるでしょう。
結論からお伝えすると、工場勤務は高卒者に狙い目の仕事といえます。工場の仕事は学歴やスキルを問わない求人が多く、実際に未経験からスタートした高卒者も多く活躍しているからです。とくに、製造業界の人手不足が深刻化する近年は、高卒・未経験者の中途採用だけでなく、高校新卒者を積極採用する大手メーカーも増えています。
また、工場とひと口にいっても、手がける製品はメーカーによってさまざま。製品ごとに製造工程や現場環境が異なるため、工場での仕事内容や職種も多岐にわたります。こうした点から、自分にマッチした職場や興味のある分野の仕事が見つけやすいのも、製造業界ならでは特長といえるでしょう。
工場勤務の主な仕事内容
では、高卒で工場勤務の仕事に就くと、具体的にどのような業務に携わるのでしょうか。ここからは、工場勤務の主な仕事の種類と作業内容を見ていきましょう。
ライン作業
工場勤務の仕事を代表するライン作業は、求人数も多い定番人気の仕事のひとつです。ベルトコンベアに乗って運ばれてくる部品を組み立てたり、素材や食材に加工を施したりする作業が中心となります。製造する製品や行程によって作業内容は異なりますが、作業員は工程ごとに割り振られた担当業務を、流れ作業で次々とこなしていきます。ある程度のスピードが求められますが、基本的に単純作業の繰り返しとなるため、特別な資格や実務経験がなくても従事できます。
マシンオペレーター
工場の機械を操作して、素材やパーツを仕様通りに加工する仕事です。多くの場合、ライン作業に沿って機械を操作し、金属板やプラスチックなどを成型したりカットしたりします。難易度は扱う機械によって異なりますが、なかには部品をセットしてボタンを押すだけの簡単な操作など、専門的な技術を必要としない作業もあります。
溶接(接合)・塗装
部品を溶接して組み合わせる接合や、製品の表面に塗料などを塗る塗装は、主に自動車工場などで行われている作業です。いずれも専門的な技術や経験が求められることが多く、作業内容によっては溶接・塗装に関する資格が必要となる場合もあります。
ピッキング
工場の保管庫などから、伝票の指示に従って部品や製品をピックアップする仕事です。カートを押しながら指定の製品を探して集める方法が一般的ですが、ベルトコンベアで流れてくる多種類の製品の中から、指定の製品を選び取って集める方法もあります。また、重量物を扱う工場ではフォークリフトを使って製品をピックアップすることもあり、その場合はフォークリフトの免許が必要になります。
梱包・仕分け
梱包作業は、完成した製品を包装したり、段ボールに詰めたりする作業です。配送中に製品が破損しないよう、緩衝材などを使って手早く丁寧に梱包します。仕分け作業は、梱包した製品を種類や配送先ごとに仕分けたり、工場へ搬入された部品を指示通りに分類したりします。梱包と仕分けはセットで行われることも多く、作業の正確さとスピードが求められます。
検査検品・品質管理
検品・検査は、完成した製品の中に不良品や異物が混じっていないかをチェックする仕事です。工業製品の性能・動作チェック、食品・飲料・化粧品などの異物混入やラベルのチェック、容器チェックなどがあり、扱う製品によって目視で確認する場合もあれば、機械を使うこともあります。
また、品質管理の業務では、「なぜ不良品が発生したのか」「改善すべき工程はどこか」など、検査検品より踏み込んだ部分まで追求し、再発防止の改善策を講じることが求められます。
生産管理
工場の製造工程全体を管理し、効率的な生産計画を立案・実行する役割を担います。具体的な業務内容としては、「生産スケジュールの管理」「在庫管理と発注業務」「製造ラインの効率化の提案」「各部署との連携・調整」などがあります。未経験からでも従事できますが、コミュニケーション能力や問題解決力などのスキルがあれば、転職する際にも評価されやすいでしょう。
設備管理・メンテナンス
工場の機械や設備が正常・安全に稼働しているかを点検し、必要に応じて修理やメンテナンスを行う仕事です。工場のスムーズな生産体制を維持するためにも、万一の事態に備えた設備管理の仕事は、製造現場に欠かせない重要な役割を担っています。未経験からでも従事できますが、工場の規模や設備によっては、機械保全技能士や設備管理士、安全管理者、電気工事士などの資格が必要となる場合があります。
工場勤務の平均年収や年間休日をチェック
工場勤務の平均年収はどれぐらい?
厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」のデータによると、製造業の平均賃金(月額)は34万円、平均年間賞与は105万5500円。ここから製造業の平均年収を単純計算すると、「34万円×12ヵ月+105万5500円=513万5500円」となります。
また、全産業の平均賃金(34万6700円)と平均年間賞与(90万9000円)から計算した平均年収は506万9400円で、これと比較すると製造業の年収は、全産業の平均値よりやや高い水準にあることがわかります。
年齢別に見た工場勤務の平均年収は?
続いて、年齢別に見た工場勤務の平均年収を見ていきましょう。厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」のデータから、製造業における年齢階層別の平均年収を算出すると、以下のようになります。
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●~19歳/平均年収246万7700円
●20~24歳/平均年収339万6900円
●25~29歳/平均年収406万3800円
●30~34歳/平均年収465万9800円
●35~39歳/平均年収526万200円
●40~44歳/平均年収559万1300円
●45~49歳/平均年収588万1300円
●50~54歳/平均年収617万7600円
●55~59歳/平均年収628万7200円
※厚生労働省のデータ(平均賃金・平均年間賞与)から算出
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上記のように、製造業における平均年収は年齢とともに増加し、55~59歳がピークとなります。20代・30代のうちは年間あたり10万円程度のペースで年収が増え続け、40代以降は増加のスピードが緩やかになるものの、一般の平均値よりもかなり高い収入を得ることが期待できます。
※参考資料/厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」
賃金構造基本統計調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
製造業の年間休日は120日前後
製造業の年間休日は、平均するとおよそ120日前後となっています。厚生労働省の「就労条件総合調査(令和5年)」によると、日本企業の年間休日の平均日数は110日。これと比較すると製造業の年間休日は、全国平均より10日ほど多いことがわかります。とくに大手メーカーの工場は、長期休暇(年末年始・夏季・ゴールデンウィーク)の日数が多く、なかには年間休日が130日を超えるメーカーもあります。
※参考資料/厚生労働省 就労条件総合調査(令和5年)
令和5年就労条件総合調査概況
高卒で工場に勤務するメリット
ここからは、高卒で工場勤務の仕事に就くメリットについて解説します。
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●未経験からでも仕事を始めやすい
●若いうちから高収入が目指せる
●昇進・昇給のチャンスが多い
●資格や免許の取得支援制度がある
●格安(無料)の寮や社食完備の職場が多い
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未経験からでも仕事を始めやすい
ほとんどの工場では、新人向けの作業マニュアルや教育体制が整っているため、未経験からでも安心して仕事を始められ、現場でスキルを積みながらキャリアアップを目指すことができます。仕事内容もシンプルな単純作業が中心なので、工場勤務の経験がなくても仕事を覚えやすく、異業種からの転職を考えている人にもチャレンジしやすいでしょう。
若いうちから高収入を目指せる
24時間稼働する工場は夜勤のある交替制勤務が多く、深夜時間帯(22時~翌5時まで)の業務には、基本給の25%以上増しとなる「深夜手当」が法的に支給されます。また、工場では繁忙期に残業が発生することがありますが、その際にも基本給の25%以上増しとなる「時間外手当」が法的に支給されます。
そのほか、勤務体制(単独勤務・交替勤務など)に関する手当や、特殊環境下(低温・高温環境など)での勤務に対する手当などを支給するメーカーも多く、入社直後から比較的高い給与を得られるケースも少なくありません。
昇進・昇給のチャンスが多い
工場は生産工程が多岐にわたることから、各工程や部署をまとめる役職が多い傾向にあります。工場によって役職名は異なりますが、工場を統括する工場長をはじめ、部長や課長、室長、班長、チームリーダーなど、工場の規模が大きくなるほど役職者の数も増えます。
そのため、現場経験を積むことで昇進のチャンスが多くなり、昇進にともなって基本給のアップや役職手当が付くことも。とくに高校新卒者の場合、若いうちから現場経験やスキルを積めるので、同世代の大卒者より早く昇進・昇給できる可能性があります。
資格や免許の取得支援制度がある
工場では特別な技術が必要な業務があるため、多くのメーカーで従業員の資格取得を支援する制度を設けています。たとえば、危険物取扱者や電気工事士、機械保全技能士、品質管理検定(QC検定)、フォークリフト・クレーン運転免許など、工場の業務内容に応じてさまざまな資格・免許の取得が推奨されています。
資格の取得支援制度を利用すれば、教材やスクール、受験などにかかる費用を会社が負担してくれますので、自分の強みとなるスキルを身につけたい人には大きなメリットとなるでしょう。
格安(無料)の寮や社食完備の職場が多い
多くのメーカーでは遠方からも人材を確保しやすいよう、工場の近くに寮を完備しています。寮は生活家電付きの個室タイプやマンションタイプが多く、寮費や水道光熱費も会社が一部負担・全額負担してくれます。また、工場の社員食堂も格安で利用できるので、家賃や食費などをセーブして、稼いだ分を貯金に回すこともできるでしょう。
高卒で工場に勤務するデメリット
このように、工場勤務にはさまざまなメリットがありますが、人によってはデメリットとなる部分もあります。工場勤務の仕事を検討する際には、以下のデメリットもしっかり把握しておきましょう。
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●単純作業の繰り返しに飽きてしまう
●年齢とともに体力的な不安を感じることも
●生活リズムが不規則になりやすい
●家族や友人と予定が合わせにくい
●人脈が広がりにくい
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単純作業の繰り返しに飽きてしまう
工場勤務の仕事は単純作業を繰り返す業務が多いため、慣れてくると作業に飽きてモチベーションが低下し、思わぬミスをしてしまうことも。作業自体は簡単でも、それをコツコツと続ける集中力が求められるので、人によってはキツイ・つまらないと感じるかもしれません。
年齢とともに体力的な不安を感じることも
工場での作業は長時間の立ち仕事が多く、職場や工程によっては重量物を扱う力仕事もあります。そのため、若いうちは問題がなくても、年齢を重ねるにつれて体力的な不安を感じる人もいるようです。力仕事や体力に自信がなければ、食品や日用品、電子部品の工場など、比較的軽いものを扱う業種の仕事を選んだ方がいいでしょう。
生活リズムが不規則になりやすい
多くの工場が採用する交替制勤務は、休みを挟んで日勤と夜勤(準夜勤・深夜勤)を繰り返すため、昼夜が逆転してなかなか寝付けず、睡眠不足や体調不良になる人も多いようです。慣れるまでは体調管理に注意しながら、生活のリズムを崩さないよう心がけることが大切です。
家族や友人と予定が合わせにくい
また、交替制勤務は平日が休みとなるケースが多く、土日・祝日が休みの人と予定が合わせにくくなります。そのため、家族や友人と一緒に出かけたり、遊びに行ったりする機会が減ってしまい、人によっては寂しいと感じるかもしれません。また、結婚式や法事なども土日・祝日に行われることが多いので、事前に有給休暇を申請してシフトを調整する必要があるでしょう。
人脈が広がりにくい
工場勤務では、従業員一人ひとりが黙々と担当業務をこなしていくので、周囲の人とコミュニケーションを取る機会はさほど多くありません。また、外部の人や顧客と接することもほとんどないため、従業員同士や社外の人との親睦・交流が深めにくい傾向にあります。
そのため、周囲とコミュニケーションを取りながら働きたい人や、仕事を通して人脈を広げたい人にとって、工場勤務の仕事はやや物足りないと感じるかもしれません。一方で、不特定多数の人とのコミュニケーションに苦手意識のある人には、安心して働ける環境といえるでしょう。
工場勤務に向いている人の特徴
ここからは、工場勤務に向いている人の特徴を紹介します。工場勤務の仕事を検討している人は、自分に当てはまるものがあるか、以下のポイントをチェックしてみてください。
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●一人でコツコツと集中して作業できる人
●体力や健康に自信がある人
●モノづくりが好き・手先が器用な人
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一人でコツコツと集中して作業できる人
どんな仕事においても集中力は重要な要素となりますが、とくに工場勤務の仕事にはスピードと正確さが求められるので、より高い集中力が必要となります。そのため、一人で黙々と業務に集中できる人や、単純作業にコツコツと取り組める人に向いているでしょう。逆に、根気が続かない飽きっぽい人や、新しい刺激や変化を求める人には厳しいかもしれません。
体力や健康に自信がある人
工場勤務の仕事の中には、重量物を持ち上げて運んだり、1日中立ちっぱなしで作業をしたり、広い工場内をあちこち歩き回ったりと、身体に負荷のかかる重労働や立ち仕事も多くあります。よって、身体を動かすことが好きで、体力や健康面に自信があれば、工場で働く際の大きな強みとなるでしょう。
モノづくりが好き・手先が器用な人
製造業の工場は、さまざまな工程を経てひとつの製品をつくる「モノづくり」の現場です。自分が手がける製品や工程に興味を持って取り組める、モノづくりが好きな人にはうってつけの仕事といえるでしょう。工場によっては、精密機械の組み立てや電子部品の加工など、細かい作業が得意な人に向いている仕事もありますので、プラモデルやDIYなどを趣味にしている人も、手先の器用さが生かせるはずです。
まとめ
今回は、高卒で工場勤務の仕事に就くメリット・デメリット、収入面や将来のキャリアパスについて解説しました。
ご紹介したように、工場勤務は未経験の高卒者も活躍できるおすすめの仕事です。とくに、高校新卒など若いうちに働き始めれば、同世代よりも高い収入を得て、早い時期からキャリアアップできる可能性もあります。メーカーの業種や仕事内容も多岐にわたるため、興味のある分野のスキルを磨きながら、自分の価値を高めていくことができるでしょう。
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