30代フリーターに迫るリスクと、正社員就職を勝ち取るための戦略について
2023/12/18 更新
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■目次
- ●知っておきたい「フリーター」の実状
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・フリーターって34歳まで?
・30代フリーターの割合は?
- ●30代フリーターに迫るリスクとは?
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・20代のような体力がなくなる
・年齢とともに正社員就職が難しくなる
・フリーター期間が長くなるほど就職が難しくなる
・年齢とともに正社員との収入格差が広がる
・結婚が難しくなる可能性も
・社会的な信用度が低くなる
- ●30代フリーターが正社員就職を勝ち取るためには
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・就職に役立つ資格やスキルを身につける
・フリーターでも就職しやすい職種・業種を選ぶ
・アルバイト経験がある職種・業種を選ぶ
・正社員登用制度を利用する
・紹介予定派遣で働く
- ●まとめ フリーターから正社員を目指すなら今すぐ行動を!
知っておきたい「フリーター」の実状
フリーターって34歳まで?
フリーターとは「フリーアルバイター」の略語で、内閣府では「学生や主婦を除く15~34歳の若年者のうち、パート・アルバイトの雇用形態を主な仕事としている者、あるいは、就職する意思を持っている求職中の無職者」をフリーターと定義づけています。
また、35歳以上でパートやアルバイトをしている人は「非正規労働者」「アルバイト」という呼称になり、フリーターとは区別して扱われています。ただ、一般的には35歳以上の人にもフリーターという呼称は使われており、その区別は便宜上のものとなっているようです。
いずれにしても、定職に就かず非正規雇用で働くフリーターは、正規雇用の正社員と比べると収入や社会的な面でマイナスな印象をもたれがちです。そのため、30代でフリーターを続けていると「このままではマズイのではないか」と、将来に不安を感じ始める人も少なくないようです。
30代フリーターの割合は?
では実際に、30代でフリーターをしている人は、どれぐらいの割合でいるのでしょうか。内閣府の男女共同参画局によるデータから、フリーターを含む20~40代の非正規雇用労働者の割合を男女別に見てみましょう。
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【非正規雇用労働者の割合】※同年齢層の全労働者に対する割合
●男性/15~24歳……22.2% 25~34歳……14.4% 35歳~44歳……9.0%
●女性/15~24歳……27.4% 25~34歳……34.3% 35歳~44歳……49.6%
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このように、フリーターを含む非正規雇用労働者の割合は、男性・女性で大きな違いが生じています。男性の場合は、年齢とともに非正規雇用労働者の割合が減り、35歳を超えると正規雇用の正社員として働いている人が圧倒的に多くなります。男性が結婚して家庭を持つと、安定した収入や社会的立場が求められるためと考えられます。
一方、女性の場合は、年齢とともに非正規雇用労働者の割合が大きく増えています。30代になると、結婚・出産にともなって子育てをする女性が増え、ワークライフバランスの取りやすいアルバイトやパートで働く人が多くなるためと見られます。
※参考資料/内閣府男女共同参画局データ
I-2-7図 年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移 | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)
30代フリーターに迫るリスクとは?
フリーターには「自分に合った柔軟な働き方ができる」「未経験でもできる仕事が多い」などのメリットもありますが、続けるリスクも認識しておくことが重要です。ここでは、30代のフリーターに迫るリスクについて解説します。
20代のような体力がなくなる
30代になると、20代の時と比べて身体面での無理がきかなくなってきます。体力のある20代のうちは、夜勤・連勤や力仕事なども難なくこなせる人が多いですが、年齢とともに体力が落ちてくると、不規則なシフトや重労働が徐々にキツくなってきます。働いた時給分がそのまま収入に反映されるフリーターの場合、体力の衰えでこれまでの仕事量がこなせなくなると、それだけ収入も減ってしまうことになるのです。
年齢とともに正社員就職が難しくなる
就職サイトなどに掲載されているほとんどの求人情報には、応募者の年齢制限を禁止する雇用対策法に従い、年齢の条件が記載されていません。
とはいえ、現実的には将来性のある若手の人材を求める企業が多く、同じ求人に20代と30代のフリーターが応募した場合、20代が採用される可能性が高いのも事実です。また、30代の中途採用市場では、前職の経験や実績、スキルなどが期待されるため、30代後半になるほど就職のハードルが高くなっていきます。
このように、就職活動では経験豊富な30代や、未経験でもポテンシャルの高い20代がライバルとなることから、フリーターの正社員就職は年齢とともに厳しくなってくるのです。
フリーター期間が長くなるほど就職が難しくなる
フリーターを長く続けるほど、正社員として就職するのが難しくなる点にも注意が必要です。フリーターに関する厚生労働省の広報資料を見ると、フリーター期間ごとに正社員として就職できた人の割合は以下のようになっています。
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【フリーターの期間別・正社員就職できた人の割合】
●フリーター期間6ヵ月以内……64.0%
●フリーター期間6ヵ月~1年以内……58.3%
●フリーター期間1年~2年以内……52.2%
●フリーター期間2年~3年以内……58.9%
●フリーター期間3年以上……48.9%
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このように、フリーター期間が6ヵ月以内であれば6割以上の人が正社員として就職できたのに対し、期間が3年以上になるとその割合が半数以下になることがわかります。
フリーターを長く続けていると、採用担当者から「働く意思が弱いのではないか、すぐに辞めてしまうのではないか」と、マイナスなイメージを与えやすくなるためと考えられます。
年齢とともに正社員との収入格差が広がる
厚生労働省の「令和4年 賃金構造基本統計調査の概要」のデータをもとに、正社員とフリーターを含む非正社員の平均賃金(月額)を年齢別にまとめると、以下のようになります。
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【正社員とフリーターを含む非正社員の年齢別の平均賃金】
●20~24歳/正社員の平均賃金22万1000円 非正社員の平均賃金19万6200円
●25~29歳/正社員の平均賃金25万5900円 非正社員の平均賃金21万2300円
●30~34歳/正社員の平均賃金28万8400円 非正社員の平均賃金21万5500円
●35~39歳/正社員の平均賃金32万3500円 非正社員の平均賃金21万3300円
●40~44歳/正社員の平均賃金34万7500円 非正社員の平均賃金21万7600円
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これを見ると、20歳と40歳の正社員の賃金差が約12万円あるのに対し、20歳と40歳の非正社員の賃金差は約2万円しかありません。また、20歳の正社員と非正社員の賃金差は約3万円ですが、40歳では約13万円もの開きが生じています。
このように、フリーターを含む非正社員の賃金は年齢による変化がほとんどなく、年齢を重ねるにつれて正社員との収入格差もどんどん広がってしまうのです。
※参考資料/厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査の概要」
13.pdf (mhlw.go.jp)
結婚が難しくなる可能性も
30代になると結婚を考え始める人も多いでしょう。ただ、結婚というライフイベントも、フリーターにとってはハードルが高くなる場合があります。定職に就かないフリーターは収入・雇用面が不安定なため、結婚相手が見つけにくい、相手がいても進展がない、相手の親から反対されるなど、厳しい状況になる可能性もあるでしょう。とくに男性のフリーターの場合、経済的に家族を養う自信がなく、結婚することを躊躇したり、諦めたりする人もいるようです。
社会的な信用度が低くなる
安定した収入が見込めないフリーターは、正社員より社会的な信用度が低くなる傾向にあります。場合によっては、賃貸住宅の入居審査に通りにくかったり、車・住宅のローンやクレジットカードの利用が制限されるなど、信用調査に影響が出る可能性もあります。
また、30歳を過ぎてフリーターを続けていると、親や親戚などから「いつまでもこのままでいいの?」と世間体を気にされ、ますます肩身が狭くなるかもしれません。
30代フリーターが正社員就職を勝ち取るためには
ここまで見てきたように、フリーターを続けるリスクは、年齢とともに年々高くなっていきます。フリーターになった理由や目的は人それぞれにあると思いますが、もし収入面や将来に対して不安を感じているのであれば、すぐにでも就職に向けたアクションを起こしましょう。
ここでは、30代フリーターが就職活動を進める上でのポイントや、正社員就職を勝ち取るための戦略について解説します。
就職に役立つ資格やスキルを身につける
先述したように、30代の就職では即戦力が期待されるため、まず就職に役立つ資格やスキルを身につけてから、正社員を目指すのもひとつの方法です。たとえば、介護職員初任者研修、危険物取扱者、電気工事士、フォークリフト・クレーン免許などの資格は、受験に必要な条件がなく、資格を取得すればすぐに現場の即戦力として働くことが可能です。
また、ハローワークの「ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)」を利用すれば、介護や電気設備、Webデザインなど、就職に役立つ職業スキルや知識を学ぶことができます。受講条件や内容、時期などはそれぞれ異なりますので、気になる人は下記サイトをチェックしてみてください。
フリーターでも就職しやすい職種・業種を選ぶ
実務経験や専門知識を必要とする仕事は、フリーターが採用される可能性が低いため、「未経験でも活躍できる」「人手不足で需要が高い」など、フリーターでも正社員になりやすい職種や業種を狙って就職活動を進めるのもいいでしょう。具体的な職種・業種としては、「販売職」「製造業」「IT職」「物流業」「介護職」「事務職」などがおすすめです。
アルバイト経験がある職種・業種を選ぶ
また、アルバイトしていた職種や業種への正社員就職を目指すのもひとつの方法です。アルバイト先で身につけたスキルがアピールできれば、面接などで評価される可能性もあります。ただし、一般的にアルバイト経験は職歴と見なされないため、企業側の判断によってはアドバンテージにならない場合もあります。
正社員登用制度を利用する
アルバイト先の企業に正社員登用制度があれば、一から就職活動を始めるより正社員になれる可能性が高くなりますので、ぜひチャレンジしてみましょう。正社員に登用されるためには、「一定期間勤続している」「勤務態度や業績が良好」「上司の推薦を受ける」「登用試験(筆記・面接)に合格する」といった条件を設けている企業が多いようです。登用の細かい基準・条件は企業によって異なりますので、正社員登用を目指したい人は事前にしっかり確認しておきましょう。
紹介予定派遣で働く
紹介予定派遣とは、一定の派遣契約期間が満了した後、直接雇用に切り替えることを前提とした働き方です。派遣期間中に、直接雇用契約を結ぶかどうかを本人と派遣先企業がそれぞれ検討し、双方の同意が得られれば、そのまま正社員として働くことができます(はじめは契約社員や準社員の場合もあり)。こうして、本人と企業の双方がマッチングを見極める期間を設けることで、切り替え後のミスマッチを抑えられるのがメリットです。
※紹介予定派遣の求人一覧はこちらをチェック
お仕事検索 | 工場・製造業の求人・お仕事・派遣なら日総工産 (717450.net)
フリーターと社会人は違うの? フリーターから正社員になる方法を紹介!
まとめ フリーターから正社員を目指すなら今すぐ行動を
今回は、30代フリーターの実状やリスク、正社員就職に向けたポイントや戦略について解説しました。
フリーターという働き方にはさまざまなメリットもありますが、年齢とともに続けるリスクが高くなっていくのも事実です。将来に不安を感じている30代フリーターの方はもちろん、なんとなくフリーターを続けている20代の方も、ぜひこの機会に“脱フリーター”に向けて一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。フリーターから正社員を目指すのであれば、今すぐアクションを起こすことをおすすめします!