工場勤務における服装の特徴とは?出退勤時の服装までご解説

2021/11/16 更新
工場で勤務するときに何を着て作業をすれば良いのか気になる方は多いでしょう。制服の着用義務がある場合は、なぜ制服を着なければならないのか、着用することにどのような意味があるのかと疑問を抱く場合もあります。そこで、こちらでは工場において服装が大事な理由や業種による作業着の違いについて解説します。また、出勤や退勤の際の服装やルールについても紹介しますので、工場勤務を検討する際の参考にしてください。
工場勤務において
服装が大事な理由
工場勤務の場合、どのような服装で作業するのかが気になるという方は多いでしょう。着用の際に何らかの義務や制限があるのかなども気になります。多くの場合、工場では作業服として制服が貸与されることがほとんどです。工場で制服を貸与する理由は作業者や製品を守るためといわれています。制服を着用することによって、なぜ作業者や製品を守ることになるのでしょう。
安全第一を意識する必要がある

工場では、作業員の安全を第一に考えて作業着の着用を義務付けています。作業時に、頭髪や衣類が機械に巻き込まれるなどの事故を防ぐためです。もちろん、機械に関係ない業務もあるので全ての作業に当てはまるわけではありません。しかし、法律でも作業時の服装については義務付けられており、労働安全衛生規則の第百十条にはこのように記載されています。
第百十条 事業者は、動力により駆動される機械に作業中の労働者の頭髪又は被服が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に適当な作業帽又は作業服を着用させなければならない。
2 労働者は、前項の作業帽又は作業服の着用を命じられたときは、これらを着用しなければならない
出典:労働安全衛生規則(JISHA中央労働防止協会 安全衛生情報センター)
作業者が安全かつ快適に作業に集中するためにも、工場勤務の服装は大切な役割を果たしています。作業着には作業の支障になるような突起物や装飾が付いていません。事故を防ぐ理由以外にも、作業着は動きやすさを重視して作られているので作業がしやすくなるというメリットがあります。
製品の品質を保つ必要がある

工場の服装は製品の品質を保つ意味や守るという意味もあります。例えば、食品・薬品・化粧品・半導体・精密機器などを取り扱う工場では、空気中の小さなホコリや細菌が製品の品質に多大な影響を及ぼすことがあるからです。ホコリや細菌が影響を及ぼす工場にはほとんどの場合、ホコリや細菌が付きにくいように加工された作業服を貸与しています。頭髪が影響する場合は、頭部と耳を覆い隠せるようなヘアネットや衛生帽子を活用している場合もあります。
製造・組立の工場
工場で取り扱う製品によって服装は異なります。業界・業種によって服装の種類はさまざまです。そこで、ここでは一般的な業界・業種別の服装の特徴についてご紹介します。
製造・組立の工場

製品の種類によってはホコリや静電気が製品に大きな影響を及ぼすことがあります。デリケートな製品を取り扱う工場では多くの場合、静電気帯電防止作業服を採用しています。また、爆発する恐れがある作業を行う場合は、静電気帯電防止作業服と静電気帯電防止用作業靴を着用することが労働安全衛生規則で義務付けられています。溶接など高熱の作業を行う場合は、燃えにくい素材の作業服や難燃・防炎加工された作業服を着用するのが一般的です。
服装だけではなく、靴を支給する工場もあります。つま先や甲部分に金属板が入った安全靴を支給して作業者を危険から守るためです。安全靴は一般的に裏面に滑り止め加工が施されているので、転倒しづらいなど安全に作業できるというメリットもあります。安全靴を着用することで、重いものが落下する、機械に足が挟まれるなどのリスクが回避できるので作業者も安心して作業に集中できるでしょう。また、デリケートな製品を取り扱う場合は、静電機能が付いた靴を支給することもあります。
化粧品・製薬・食品の工場

化粧品・製薬・食品などの工場は、空気中のチリ・ホコリ・温度・湿度などが一定に管理された場所で作業するケースがあります。頭部は髪の毛などが落ちてこないようにヘアネットや衛生帽子で覆い、作業着は不織布でできた作業着や白衣の作業着など作業内容に合った服装を提供される場合がほとんどです。作業着はホコリの発生を抑えるような低発塵性素材などを使用したものや静電効果のあるものが採用されています。食品工場など油を扱う工場では、滑りやすいゴム製の靴底の靴は向いていません。滑り止め加工された靴や食品カスが詰まりにくい靴を支給している場合がほとんどです。
出典:工場のお仕事ってどんな制服ですか?
工場の作業着は支給される
静電加工された作業着や安全靴などを自分で準備するものなのかと不安に感じる方が多いでしょう。しかし、ほとんどの場合は作業着や安全靴は貸与されます。入出庫などの軽作業に関わる業務の場合は制服や作業着が貸与されないこともあるので事前の確認が必要です。また、上着・帽子・安全靴は貸与されてもズボンは支給しないというケースもあります。
安全靴はJIS規格によって、H種(重作業用)、S種(普通作業用)、L種(軽作業用)に分類されています。一般的な工場では、S種やL種が主流です。安全靴には紐がほどける心配がなく、足首までカバーできる長靴タイプもあります。
制服や作業着が貸与されない場合は、作業中の服装はどのようなものが向いているのか上司や先輩に確認しておきましょう。特に服装を指定されない場合は、動きやすさを重視することが大切です。装飾が付いていないもの、派手で悪目立ちするものは避けましょう。
工場で作業着を着る際の注意点

工場で作業着を着る場合にはいくつかの注意点があります。まず、作業着は規定どおりきちんと着用することが最も重要です。ボタンは全てしっかり留める、シャツは裾まで入れてはみ出さないようにするなど基本的な着用ルールが守れていないとケガや事故の原因になるので注意しましょう。簡単なことで見落とされがちですが、ボタンを全て留めるのはボタンの紛失や破損にいち早く気づくきっかけになります。シャツを裾までしっかりズボンに入れることは、機械による巻き込みなどを防ぐ役割があります。労働災害防止など、全てに意味があるので着用ルールを守り快適に作業しましょう。
また、貸与された制服や作業は定期的に洗濯を行って常に清潔を保つことが大切です。ちょっとした傷や穴も安全面や製品の品質を守るために影響する場合があります。破損した場合はすぐに申告することが大切です。
いくら制服や作業着に安全面や製品を守る工夫がされていたとしても、着用者の身だしなみで影響を及ぼすことがあります。作業を安全に確実に行うためにも爪は切っておく、髪は結んでおく、時計やアクセサリーなどは身に着けないなど個人的な配慮も必要です。ネイルなどは基本的にNGと考えておきましょう。ネイルの剥がれやパーツが落ちてしまったときは製品に影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
安全靴などが支給されない場合は、脱げにくく作業しやすい靴を準備しましょう。靴紐がほどけて転倒する、機械に巻き込まれることもあるので注意が必要です。靴のかかとを踏むのは作業するうえで大変危険なので、靴は脱げにくいものときちんと履くことを心掛けましょう。
工場へ出退勤時の服装やルール
通勤時に作業服を着るのはNGとしている工場がほとんどです。一般的には私服で出勤し、更衣室で着替えてから作業を始めるという流れになっています。工場によって作業着そのものやジャケットなど作業着の一部を着用して通勤しても可とする場合や、私服で出社しなければいけないなどのルールが定められている場合があるので事前に確認しておくことが大切です。工場勤務はほとんどの場合、制服や作業着が貸与されるので出勤時の服装は自由であることが多いでしょう。オフィスワークのようにスーツやカバンなど高額のものを自分で準備する必要がないというメリットがあります。
まとめ
工場の服装は安全に作業を行うという自分自身のため、製品に影響を及ぼさないという会社のために大切な役割を果たしています。毎日の作業を快適に安全に行うためにも貸与されたものを正しく着用することが大切です。安全面に配慮された制服や作業服をみんなが正しく着用することで自覚や責任、連帯感が生まれて良い影響を与え合うでしょう。